走行充電配線(失敗)

トップ > トラベルトレーラー > 走行充電配線(失敗)
スコッティには、デルコの105Ahバッテリーを2個搭載しています。
出発時はAC100V用の充電器で満充電しているので、1日目は問題ないですが、扇風機や炊飯器など贅沢に電気を使っているので、その後は走行中に充電しないとバッテリーが持ちません。

ヘッド車両から走行充電するべく、コネクターを増設して充電用の配線を引いたのですが、ほぼ失敗でした…。

まず、使用した線は5.5sqでした。
トレーラーコネクターの接続部が太いモノでも5.5sqまでしか対応しておらず、電流容量としても42Aあるので問題ないだろう、と軽く考えたのですが、これが大失敗。往復の総延長で20m近い配線です。電流容量だけの問題ではなく、配線抵抗と電圧降下を詳細に考慮する必要がありました。

さらには、走行中は常時冷蔵庫を電気駆動します。
充電用の配線に流れる電流のうち、10Aはバッテリーに充電されず冷蔵庫に消費されます。
ということは、20mの5.5sq配線に10A流したときの終端電圧までしかバッテリーは充電できません。
※実際にはヒューズ抵抗やコネクタの接触抵抗も影響します。

実験したところ、冷蔵庫に10A消費した状態では、トレーラー側の電圧は12.3V程度まで下がり続けます。
※デルコ側の電圧が12.3Vより高いと、12.3Vに下がるまでデルコから電流が流れます!
ヘッド側の電圧が13.8Vとすると、電圧差は1.5V。実に0.15Ωの配線抵抗です。

この配線下ではどうなるか?

デルコを11.5Vまで使用した時に走行充電を開始すると、電圧差は2.3V。配線抵抗が0.15Ωなので、流れる電流は15.3A。そのうち10Aが冷蔵庫に流れるので、充電には5.3Aが流れます。

実際には定電流ではなく、電圧差が小さくなると充電の電流値も減ります。

 11.6V時には、4.7Aで充電
 11.7V時には、4.0Aで充電
 11.8V時には、3.3Aで充電
 11.9V時には、2.6Aで充電
 12.0V時には、2.0Aで充電
 …

12.3V時を70%充電と考えると147Ah。11V時でほぼ空なので、0.1Vの容量は11Ahぐらいです。
これから計算すると、

 5.3A流して、11.5V→11.6Vにするには2時間。
 4.7A流して、11.6V→11.7Vにするには2.3時間。
 4.0A流して、11.7V→11.8Vにするには2.75時間。
 3.3A流して、11.8V→11.9Vにするには3.33時間。
 2.6A流して、11.9V→12.0Vにするには4.23時間。
 2.0A流して、12.0V→12.1Vにするには5.5時間。
 …

12.3Vへの回復はおろか、よほどの長距離移動でなければ11.8Vへの回復も不可能です。
実際に走行しての実測値でも似た様な値でした。
これじゃ使い物になりません。大失敗です。

今後の改良方針

方向性はいくつか考えられます。
  1. AC100V送電にする

    ヘッド車両のバッテリーに近い位置でAC100Vを作り、トレーラーへAC100Vで送電すると、電流値は1/8.3となり、電圧降下も1/8.3になります。さらには電圧が高いので、電圧降下の割合も1/8.3になり、送電での損失はDC12Vに比べて、1/69に下がります。

    送電効率そのものは素晴らしいのですが、DC12VからAC100Vへの変換に10%のロス、AC100VからDC12Vへの充電に10%程度のロスが出ます。さらにヘッド車両にDC-ACインバーター、トレーラー側にAC充電器が必要です。インバーターはヘッド車両にあるので流用するとしても、問題となるのはAC充電器です。

    自宅での充電用にデルコ対応の充電器はありますが、定電流タイプで最大で10Aです。デルコ2個で210Ahの容量を充電するには24時間以上かかります。送電効率が上がってもあまり意味がありません。
    調べたところ、大容量タイプだと最大25Aの充電器があります。しかし、価格は4万円と高い…。

  2. 充電用配線の抵抗値を低くする

    問題となるのは電圧降下です。配線の抵抗を可能な限り下げれば、電圧降下は最小限になり、DC12Vでも実用レベルの充電電流が流せるはずです。

    一般的に入手できる車用配線の最大サイズは22sq。5.5sqと比べて1/4の抵抗です。逆に考えれば22qsの配線を使ったところは、5.5sqの配線を1/4の長さに縮めたのと同等になります。
    トレーラーへの配線は片道10m。これを22sqにすれば、今の5.5sqでの配線が片道2.5mに縮んだのと同じ計算になります。これならヘッド車両内においたバッテリーを5.5sq配線で接続して走行充電するのと同じ条件ですから、実用レベルの電流を流せるでしょう。

  3. ソーラーパネルを追加する

    走行時だけに頼る充電は根本的に無理があります。特に移動時に冷蔵庫を電気駆動している場合、休憩などで1時間停車すると、バッテリーから10Ahを消費してしまいます。走行充電を補助する為にも、太陽さえ出ていれば充電が可能なソーラーパネルは有効な装備です。

    大きな難点は価格。冷蔵庫が10Aということを考えると、最大発電能力で10Aは欲しいところです。85Wのパネルで最大電流が4.95A。これを2枚と充電コントローラーで13~15万円コースとなります。

今結局どうするのか?

たぶん、1、2、3の合わせ技の方向です。

AC100V送電を行い、走行中は冷蔵庫の駆動をこのAC100Vで行います。これだけでDC側は冷蔵庫に流れていた10Aが充電側に使用できるので、現状の5.5sq配線のままでも+10Aの充電改善になります。AC100Vからの充電は大容量充電器が高価なので、充電はDCで行うという方針です。

その次に、配線を太いものに変更します。22sqが理想ですが、配線を引き回せるか検討して決めるつもりです。8sqを2本並列という妥協をするかもしれません。電圧降下が改善されて充電電流が40Aを越える状態になる場合は、コネクター保護の為に電流を制限する充電コントローラーが必要となる可能性がありますが、配線抵抗や接触抵抗を考えると、バッテリーが空でもそこまでは流れないでしょう。たぶん。
この辺は実験して実力値で判断するつもりです。当然ヒューズを入れるので想定より大きい電流が流れる場合はヒューズが切れて安全を確保します。

最後は資金次第ですが、ソーラーパネルの追加です。走行充電時の補助というよりは、走行開始時点でバッテリーを回復しておきたいという意図の方が大きいです。空にしてしまうと210Ah。30Aを流し続けても満充電には7時間もかかります。走っていない時でも数A~10A程度の補充電が可能というのは大きな効果です。
さらには電源の無いキャンプ場や河原で連泊する場合、買い出しや温泉などはヘッドのみでの移動です。ということは走行充電はできません。ソーラーでの充電が無いと電気の使用が著しく制限されてしまいます。
高価なのですぐに手が届くとは思えませんが、なんとかしたいところです。



トップ > トラベルトレーラー > 走行充電配線(失敗)
走行充電配線(失敗) COPYRIGHT 1996-2024 E-NAYA
Powered by WPMS