地上波デジタルとは?

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今話題の地上波デジタルですが、田舎じゃ放送が始まってないので興味薄です(2006/11時点)。
でも、2011年末にはアナログ放送が終了するので、少しは考えとかなきゃイカンです。

そもそもトレーラーにつけてるROADSTAR2000で受信できるの?
受信できるエリアは?
ワンセグって?
など疑問だらけ…。

気にせず放ったらかしてたんですが、
近くの車屋さんに地上波デジタルのことを聞かれたので、これを機会に詳細に調べてみました。


送信周波数

地上波デジタルの送信周波数はUHF。
周波数と帯域幅、チャンネルの関係は、アナログ放送と完全に同一です。

現在のアナログ放送のUHFの周波数帯域は470~770MHz、その中を6MHzづつに区切って、13~62チャンネルに割り当てられています。地上波デジタル放送も、このチャンネルの概念はまったく同じです。

周波数帯域が同一なのでアンテナも同一です。現在のUHF用のアンテナで受信できます。
ROADSTAR2000で問題なし!

※放送局の送信アンテナがアナログとデジタルでは別の場所になる可能性があるので家庭用のアンテナは向きを変える必要があるかも知れません。



送信情報

送信される中身はまったく別物になります。
アナログ放送では、映像と音声のアナログ信号をチャンネル周波数で変調して送信していました。
受信&復調すると、映像と音声のアナログ信号に戻ります。

地上波デジタルでは、デジタルデータをチャンネル周波数で変調して送信します。
受信&復調すると『完全に一致したデジタルデータ』が得られます。
いわゆるデータ通信です。
※完全に一致したデジタルデーターを受信し、それを映像+音声情報にデコードするので送信時と同一の映像となります。

1つのチャンネルの中を13のセグメントに分割し、それぞれのセグメントにデータを入れて送信できる構造になってます。ハイビジョン放送は12個のセグメントを使って送信されます。携帯用には真ん中の1個のセグメントを使って同じ映像が送信されます(ワンセグ放送)。データが大きいほど映像品質が高く、小さいほど映像品質が落ちます。

図で表すと…、
という感じになります。
受信した内容はアナログ放送とは全く違うので、地上波デジタルの信号を復調&映像化するには、地デジチューナーが必要になります。


12セグ放送(ハイビジョン放送)

地上派デジタルの大きな売り文句である『高画質』を実現する方式です。
ハイビジョン映像を12個のセグメントに詰め込んで送信します。高画質映像を見ることができますが、前提条件として、全てのセグメントが受信できる電波強度が必要です。

デジタルの場合、少しでもデータが欠けると再生できません。アナログの様に少しノイズまじりで見る状態は作れません。見れるか見れないか、どちらかになります。
電波の受信感度に対する要求は、今のアナログ放送よりシビアになると思います。

私の解釈では、放送局が今までのアナログ放送と同じ電波の強さで地上波デジタル放送を送信した場合、12セグを受信するには、アナログ放送がまったくノイズ無くクリアに完全受信されている必要がありそうです。アナログを受信して電波強度が足りずに常時ノイズが入ってる状態だと12セグを全て受信できるかどうか微妙になりそうです。

※電波が弱く11個のセグメントしか受信できなかったら、再生映像は生成不能なので真っ暗画面です。むろん、音声も出ません。
※アナログと同じ出力で送信するとは限らないので、実際には放送が始まらないと解らないですけど…。


ワンセグ

1つのセグメントに収まるサイズに映像+音声を高圧縮(低画質)し、7番目のセグメントに入れて送信する方式です。通常は12セグと同じ内容を同時送信します(12セグは1~6と8~13セグメントを使用)

7番目のセグメントのみ受信&再生すればいいので、ワンセグに特化したチューナーは小型&省電力&低価格で製造できます。ワンセグが携帯で受信できる秘密がこれです。

ワンセグの映像はiPodでの動画再生でも推奨されている『H264』という形式で圧縮されています。
320×240の解像度で、15フレーム/秒、128kbps。
お世辞にも高画質な映像ではありませんが、モバイル視聴であれば十分耐えれるレベルでしょう。
※字幕情報など映像とは別のデジタルデータも入っている様です。

ワンセグの大きな魅力は受信しやすいことです。
真ん中の7番目のセグメントは、変調方式の関係から他のセグメントより受信しやすいです。
※同じ受信アンテナ&チューナーで受信した場合、12セグよりワンセグの方が20倍近い感度。

車で移動中や人里離れた場所に行くと、ザラザラだけどなんとか映ってるという状態になります。
この状態では12セグは間違いなく受信不能です。しかし、ワンセグは受信できる可能性が高いです。

勘違いしてはいけないのは、電波としては今のアナログ放送も地上波デジタルも同じです。
電波そのものの到達距離は送信出力を変えない限り同一です。
なので、今のアナログ放送より遠くへワンセグ放送が届くワケではありません。

しかし、アナログ放送の場合は、放送局から離れて電波が弱くなるに従って見づらいザラザラ画面になります(帯域幅全体で変調してるため。例えは変ですが強引に12セグを再生している様なモノ)。
※砂嵐の状態で見えているのを『電波が届いてる。見えてる』と言うかどうかで表現が変わってきます(^^;。

これがワンセグでは7番目以外のセグメントが受信できない状態になってきても、ワンセグの映像にはなんら影響はありません。7番目のセグメントが受信できなくなるギリギリの場所まで同一の品質で再生できます(7番目のセグメントが復調できなくなった瞬間にブラックアウト)。

結果的にワンセグの方が遠くまで奇麗な映像で再生できるので、遠くまで電波が届いてる様に感じる、という感じです。
※なので、ワンセグだからアンテナは小さくて感度悪くてもOK。というのは違う気がします。しっかりしたアンテナならより広いエリアで受信できるワケですから。


デジタル放送の特徴

デジタルのデーターを通信してるだけなので、映像や音声データに限らず、多様なデータを送信できます。電子番組表やデータ放送などのデータを受け取れます。
クイズの回答をする様な操作画面をもった双方向の番組も可能ですが、受信側は電波ですけど、答えを送信するのはインターネット回線経由となります(当たり前ですが…(^^;)。

アナログで問題が多かったゴースト現象(ビルや山に反射した電波が時間差で混信し、映像が2重に見える)ですが、デジタルでは送信時と同一データに復元するという状態しか存在しないので、ゴースト映像を作り出すこと自体ができません。なので、再生できる状態であれば常にクリアな映像になります。
※混信すると再生そのものが不可能になるので、地上波デジタルでは強力なエラー訂正機能を送信データに含ませ、時間差で混ざる混信情報を除去できる方式になっています。


深刻な問題点

単に受信してリアルタイムに見るだけなら問題ありません。
問題は録画して後で見る場合です。
HDDビデオで録画して、そのビデオでそのまま視聴し、見たら消すのであれば問題なし。

ところが、録画内容を他の機材(パソコンや他のDVDプレイヤー)で見ようとすると、コピープロテクトやファイル規格の関係で『大問題』があります。

例えば、私は東芝のHDDビデオデッキで以下のことを普通にやってます。
  • HDD録画し、後でDVD-Rに焼いて(ファイルコピーなので超高速)、他のDVDプレイヤ-で見る。
  • HDD録画し、後でパソコンにネットワーク転送し、圧縮してiPodに入れて見る。
  • 上の様なことをやりつつも、HDDビデオから直接TVで再度見ることがあるモノはHDDにそのまま残す。
よくあるパターンですが、地デジになると『全部ダメ』。

仕組み上、根本的に違ってくるのが、アナログ放送では受信&復調した時点で『アナログ映像+音声』です。それをHDDビデオが『デジタルデータ(MPG2)』に変換してHDD録画しています。
録画時点で変換するのでMPG2のビットレートは、録画番組毎に設定できます(ファイルサイズを自分で可変できる)。

ところが、地デジになると、受信&復調した時点でデジタルデータです。
これをそのままHDDへ記録します。しかも『コピープロテクトがかかってます』。
巨大なファイル(12セグファイルは数倍のサイズ)は、大きすぎてそのままではDVD-Rに入りません。
※あまりに不便なので将来的には録画時点で自動レート変換する機能がHDDビデオに追加されそうですが…。

そもそも、一旦HDDに録画してしまうとプロテクトがあるので『他へコピーはできません』。
移動という形で、HDDから内容を削除してDVD-Rに焼くことは可能ですが、DVD-Rの書き込みエラーが発生すると『HDDの内容は消えたまま』。むろん、書き込みを失敗したDVD-Rも見れません。書き込みエラーなんか1/10ぐらいの確率でおきるので、その度に録画映像を失ってしまうことになります。

さらに、DVD-Rに焼く時には画質落として4.7GBに収まる様にレート変換する必要があります。
オリジナル画質で残せないばかりか、レート変換しながらの焼き付けは等倍速になります(現在の製品は)。2時間番組をDVD-Rに焼くのに2時間かかります(今は15分ぐらい)。

さらにさらに、そうやって苦労してDVD-Rに焼いても、コピープロテクトの関係で他プレーヤーでは再生できない可能性が高いです。当然ながらパソコンに転送&圧縮してiPodで見るってことは不可能!。

もう、バカバカしくて笑ってしまいます。
ここまで使い勝手が悪くなると、録画する人はいるのだろうか?

対策は?
私の場合、現在のアナログ用HDDビデオと併用することで逃げるつもりです。
アナログ用HDDビデオには外部入力映像を録画する機能があります。
地デジ様HDDビデオのアナログビデオ出力を、ここに入力すれば今までと同様にMPG2で録画可能。
ただし、電子番組表を使って一発で録画設定ということはできず、昔ながらの録画設定が必要ですけど。

アナログ放送が終わるまでに、規格が変更され使い勝手の部分で改善されることを期待したいです。


いつ買う?

2011年末にはアナログ終了ですから、1億台以上といわれる全てのTV(たぶんビデオとか車のTVは計算に入ってないだろうから、もっと多いはず)は、買い替えかチューナー購入することになります。
この需要ってもの凄い量だと思います。実際にはフル生産しても供給が追いつかない状態でしょう。
ということは量産効果でコストはどんどん下がります。

たぶんアナログ終わる頃には2、3万も出せば12セグと1セグを自動切り替えしてくれるチューナーが買えるんじゃないかな?というのが私の想像です。

コピープロテクトの問題もあるし、しばらくは様子見です(^^;。

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