使い込んでみて思うこと

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SCOTTYが来てから1年が経過しました。
実際に使い始めるとトラベルトレーラーやキャンピングカーについて次々と疑問が湧き出てきます。
その都度、色々と情報を集めたり自分で実験したりし、ようやく自分なりに理解できてきました。

1年使い込んでみて思うことを書いてます。




高速走行に大きな不満はありません。
余裕のパワーではないものの、登りでも加速しつつ追い越し車線に出ることが可能です。

自走式との違い

大きな違いは走行時の状態です。

簡単に言えば、自走式キャンピングカーは家の中に座った状態で走行します。これに対してトレーラーは、移動中はヘッド車両に乗ります。つまり、乗ってる人間としては普通の車でドライブしているのと同じです。
運転席と助手席はともかく、後部座席の快適性や安全性(3点式シートベルトやヘッドレストの有無、前方視界、窓との位置関係)は、普通のRV車の方がずっと優れています。
※自走式は家としての装備と車としての装備を両立させているので、走行専用の車に負けるのは当然の話です。

そして、個人的に致命的と感じたのが走行パワーの差。

キャンピングカー業界では、走行パワーの基準が一般の車と大きくズレてる様で、登坂車線のある登りの高速で80km/hをキープできる性能を「十分な走行性能」と表現しています。国産キャブコンだと、ガソリン2L-130psぐらいのエンジンのトラックをベースにしているモデルが中心で(1.8L-98psなんてのもある…)、車量を考えれは明らかにアンダーパワーです。家に近い装備を架装するなら、ガソリンなら最低でも3L-180psぐらいのエンジンが必要でしょう。

トラベルトレーラーだと、走行パワーはヘッド車両で決まります。好みのパワーを選び放題です。
私のパジェロは3L-180psのエンジンで、今時のRV車という意味ではパワフルな部類ではありません。でも、これに750kgのトレーラー牽引してる状態でも、国産トラックベースの自走式より確実にパワフルです。実用上なんら問題ありません。高速の登りでも100km/hオーバーで走ることも可能だし、速度を落としてからの再加速もスムーズです(それでも、普段パジェロ単体で走行してる私は「かったるい」と感じますけど(^^;)。
※5MTの話です、ATだと少々辛いかも。

高速では80km/hちょっとで走ることが多いのですが、遅い車を抜いたり、登りで大減速を強いられた後の再加速する時とか、くねくねの急勾配の山道などにエンジンパワーの余裕は必要です。後続車に大きな迷惑をかけるほどアンダーパワーだと運転にストレスが溜まります。

この辺は価値観で決まるんでしょうけど、私はパジェロ+SCOTTYの組み合わせよりも走行パワーの無い状態で旅をするのはムリです…。

どーしても自走式を選べと言われたら、我慢できるのは、バンテック Terra(テラ)のディーゼル5MTぐらいかな。車幅2mで全長5.42m。サイズ的にはギリギリセーフでしょう(長さは少々しんどいですが、幅が重要)。3L-163psのディーゼルエンジン+5MTは、トルク&パワーとして実用レベルのはず。
※5MTだから細かいところは許す(^^;

ただ、後述する総合的な理由で、アメリカントレーラーを知ってしまった今では、キャンピング装備の面で少々物足りないです(それ以前に価格の面で完全に対象外ですが…(^^;)。




狭めの普通車枠に何の問題もなく収まります。
2台分のスペースは必要ですが、空きさえあれば狭い駐車枠でも大丈夫です。

サイズの重要性

使い込んで重要だと思ったのは「トレーラー単体が小さめの駐車枠に収まること」です。
キャンピングカーでは、2m×5mってサイズが基準として言われてますが、実際には5mの全長は長過ぎです。
狭めの駐車枠では長さ方向は5mもありません。パジェロの4.7mでも微妙に鼻先が飛び出たりします。
幅2mは車のサイドミラー幅程度なので、ギリギリセーフです。
※SCOTTYは全長4.15mなので長さ方向は楽勝です。

そんな狭い駐車枠には入れない、と割り切れればいいですが、そうなると立ち寄れる場所が制限されてしまいます。現実には狭い駐車枠の施設は多いです。狭くても空きさえあればなんとかなる、というサイズは非常に重要なポイントです。移動途中に普通のスーパーに立ち寄ったり、普通車枠しかない温泉に立ち寄れないと、旅行の意味が薄れます。さらに、幅が2mを超えると四国の山道では離合が辛くなります(2mでも離合不能な場所は沢山あります)。

現時点では、いろんな場所に気兼ねなく出掛けることが最大の目的なので、大きなトレーラーでは代わりになりません。初めて行く場所で、入り込んだ道が途中で急に狭くなっていたら…、先に進むしかないのに曲がり角が極端い狭かったら…、入ったスーパーの駐車場が妙に狭い通路で曲がっていたら…、(万が一の話ではなく、実際に時々遭遇します(^^;)リカバリーする時に重要なのは、やはりボディサイズです。

そういう意味でSCOTTYの、幅199cm、長さ415cmはベストバランスです。

もし、狭いところには行かない、という価値観に変わったら、トレールジョイJ220がいいですね。
ベースはアメリカントレーラーのトレールライトですが、ほとんどのパーツが専用モノで、日本での組み立てなので国産!。当然、左エントランス。幅も2.28mでヨーロッパ系のトレーラーと同等。内装の細かい部分も日本で作ってるだけのことはあります。アメリカンの実用性と日本のきめ細やかさを合わせた様なトレーラーです。
でも、重量が1650kgもあるので、3Lパジェロじゃ牽引は無理だろうなぁ(それ以前に金額的に無理…、あ、牽引免許もいるか(^^;)。




キッチンの使い勝手そのものは平凡です。しかし、それを支えるライフラインが強力です。
結果的に絵に描いた餅ではなく、しっかり使えます。

キッチン

私がトラベルトレーラーへ行き着いたのは、維持費や購入額の問題からです。
SCOTTY入手時点では、細かい部分については深く考えたことも無かったし、装備も無いなら無いでもいいか、と思ってました(なので、アメリカンとかヨーロピアンとか、系統の違うトレーラーがあることも知りませんでした)。

ところが、使い込んでみてSCOTTY(アメリカントレーラー)の実用性の高さにビックリ仰天です。
※しつこいですが、SOCTTYは15年ぐらい前のトレーラーです。

蛇口をひねると家の水道とまったく同じ感覚で水が出ます。
汲み上げポンプではなく、加圧式のポンプでキッチン、トイレ、シャワーに接続された水道管に常時圧力がかかっている仕組みになっています(おまけに全て温水との混合栓。家のキッチンよりいい(^^;)。

実際に使い込んでみて、もう加圧式以外の水道には戻れません。
※家と同じ感覚で使えるので、慣れるとこれが普通になってしまいます。

さらに、清水タンクは80リットルもの容量があります。満タンにすれば、料理や洗い物しても残量を気にする必要はありません。そして、80リットルの水をしっかり使うための受け皿として、60リットルのグレータンクが装備されています。
※普通は清水20~40リットルぐらいがせいぜいで、グレータンクなし、なんてのもあります。

コンロは4つ口(LPガス。5kg×2個を搭載したので残量は気にしません)。換気扇あり。ダイネットとキッチンが離れてる(換気の関係で結構重要)。

普通に煮炊きできます(ご飯は電気炊飯器で炊きます。家と同じ手間)。

キャンピングカーのキッチンというと、調理できそうに見えて、実際には色々と支障があって使い物にならない、というのが多そうなんですが、SCOTTYは逆です。狭いので使うの無理があるかな?と思いきや、実際には狭ささえ克服すれば、あとは何の支障もなく使えてしまいます。

キッチンが使い物になるかどうかは、ライフラインが重要だということを身をもって知りました。




トイレがあり、普通に使えると、そこは「家」になります。

トイレ

購入時点で「あればいいなぁ」ぐらいにしか思ってませんでした。
ところが実際に使うと、もうトイレ無しのキャンピングトレーラーなど考えられない状態になりました(笑)。

何の支障もなく使ってたんですが、最近ふと思い立って容量を正確に計ってみました。
ブラックタンクを排水して空にした後、ポリタンから計りながら水を入れると、なんと35Lも入りました(20Lぐらいだと思ってたのでビックリ)。

キャンピングカーで使われるポータブルトイレは6~7L。カセット式のトイレは10L~、大きなモノで20Lです(20Lのカセットを運ぶってのもコワイですが…(^^;)。

35Lという容量。気兼ねなく使うなら必要最低限だと感じました。
トイレは基本的に水洗です。使うたびに水を流すのでこのぐらいの容量がないと家族で数日の使用は辛いです。
※大きいアメリカントレーラーはブラックタンクは110Lの様です。うーむ、さすが。

当然ながら、SCOTTYのトイレの水は加圧されてる水道管から流れます。別カセットに水をセットしておく必要もないし、必要なら清水タンクが空になるまで水を流せます。

キッチンの話と同じく「サイズは小さいけれど普通に使える」装備です。
※トイレスペースが狭いのが難点ですが(^^;

最初からこれを使ってしまったので、もう、ポータブルやカセット式はNGです(^^;。




電気も重要なライフライン。気兼ねなくとこでも泊まれる為には外部電源に頼らない装備が必要です。

電気

電気設備に関してはパジェロ単独の頃からかなり凝ってたし、試行錯誤も重ねていたので理屈的には完成の域だと思っていたのですが、本格的なトラベルトレーラーになると新たな発見が多数ありました。
※寛げる空間が確保されると、根本的に使う電気の量が違いますね(^^;

私の使い方は「完全自立型」です。外部電源なしで成り立つことが前提です。
アメリカントレーラーの装備は基本的に電気で動きます(水道の加圧ポンプ、ガスFFヒーター、換気扇、各種照明、電気駆動時の冷蔵庫)。電気が無いと単なる箱になります。

それに加え、炊飯器、電子レンジ、オーブントースター、TV、アンテナブースター、PowerBookの充電、扇風機、ホットカーペット、…etc。満足に使うには相当な電気容量が必要です。

例えばオーブントースター15分、電子レンジを15分使うと50Ah消費します。300Wの炊飯器でご飯炊くと15Ah程度、ガスFFヒータを夕方~夜中まで使うと40Ah。TVを3時間見ると10Ah。水道ポンプや照明、ノートパソコンの電源などで数十Ah、冷蔵庫を電気駆動していると1時間毎に10Ah…。

普通に電気を使うと200Ah程度なんて一晩で使ってしまいます。
私の考える十分な容量は、普通に使って2日使えることが基準です。となると最低でも400Ahという計算になります。

ディープサイクルバッテリーの定番は、デルコの105Ahタイプの物。これを4個並列が理想です。
並列接続することで、電子レンジやオーブントースターなどの1000Wクラスの電気利用時に、バッテリー1個からの流れ出し電流を抑えることができます(これ重要!1個のバッテリーで100Aを取り出すと異常に効率が悪く、105Ah表記でも50Ah取り出さないうちに空になります)。
※現時点で3個並列搭載済。近いうちにもう1個増設予定です。

バッテリーは使ったら充電が必要です。
移動中は走行充電ができますが、停車中はソーラーパネル発電が頼りです。

85Wクラスのソーラーパネルは夏の晴天時に1日で25Ahの電気を発電します。重量とスペースの許す限り多い枚数を装備したいところですが、実際には天井面積は限られるし、発電電流が大きくなると充電コントローラーも高価になります。ベストバランスは、最大電流15Aと考えて(15Aまでなら充電コントローラーが安い)、85Wを3枚装備でしょう(85Wパネルのピーク電流は5A)。1日で最大75Ahの発電が期待できます。
※現時点で2枚装備済み。もう1枚追加したいけど予算が…。だいぶ先の話になりそう(^^;。

ソーラーだけに頼ると、一晩で使った200Ahの1/3しか充電できません。
残りは移動時にヘッド車両からの走行充電で補います。配線抵抗を限界まで下げる工夫が必須になりますが、適切な配線をすれば数時間の走行で充電できる計算です。

電力量を求めると、発電機搭載という手もあります。
しかし、無音の発電機は存在しません。騒音を出す装備は使える場所が極端に限られます。
使えない小型発電機を積んで重くなるぐらいなら、その分バッテリー増やした方が意味があると思います。
※私がトレーラー引いて行動した範囲で発電機が使えそうに感じたのは、高速のサービスエリアで大型トラックがアイドリングしている横ぐらいです。ほんとにピンポイントだし、そもそも泊まるときは少しでも静かな場所を探します。結果的に使える可能性はゼロ。意味ありません。

電気関係はインバーターも含め、色々と奥が深いです。たぶん、今後もっと使い込んで行くことで新たな発見が出てくることでしょう。




ソファーとテーブルの空間は、私には耐えられません(^^;

2畳の座卓空間

ソファーとテーブルの構成が耐えられず改造したのですが、とにかく都合がよかったのは、SCOTTYはベットに展開すると、186cm×186cmの正方形のサイズだったことです。

絨毯、ホットカーペット、い草マットなど、敷物系は畳サイズが基準です。2畳の敷物がそのまま使える手軽さは凄く便利です。そしてこの2畳という正方形の空間ですが、とにかく絶妙なバランスです。決して広くはないのですが、実際に使うと座卓空間であることも手伝って自由度が高く不満が出ません。

室内サイズは欲を言えばキリがありません。広ければ快適なのは解りきってます。でも、中の広さを広げると自動的に車体サイズが大きくなり、牽引時の苦労が増えます。

このサイズのバランスをどう考えるか?かなり個人の価値観で左右される問題です。

SCOTTYは最初狭いかな?と思っていたのですが、実際に手を入れながら使い込んでみると、私の使い方に見事にマッチした室内サイズ&車体サイズでした。どうにもならない狭さで無い限り、かなりの部分を工夫でカバーできるということが新しい発見でした。




日本は世界じゃ少数派の左側通行。出入り口が左側にあると便利です。

左エントランス

日本で販売されているトラベルトレーラーは基本的に外国製です(アメリカ系orヨーロッパ系)。右側通行の国で製造されている車種の為、出入り口が右側にあります。

これを不便と感じるかどうかは価値観次第ですが、少なくとも路上では左側に出入り口がある方が安全で便利です。道路の路肩に停車してトレーラーに出入りする必要がある時など、右側では後続車があり危険です。
※走行し始めて窓の閉め忘れに気がついたり、子供の急なトイレとか、路肩で出入りする場面が時々あります。

また、車両を停める区画が決められているキャンプサイトでは、左エントランスを前提に区画が設計されている場合が多く、右エントランスだとタープなどを張る寛ぎスペースの反対側が入り口になって不便だそうです。
※うちは、そんな豪勢なキャンプ場とは無縁なので関係無いですが(^^;。

スコッティは、アメリカントレーラーなのに左エントランス。使い勝手がよくて有り難い限りです。
※とても希少らしいです。もっとも、SCOTTY自体が希少ですが(^^;



しかし、残念でならないのは、もうこの大きさのアメリカントレーラーが存在しないことです。

サイズだけで言えば、全長5m以下のトレーラーとしてポーランド製のニワドーがあります。
でも、清水タンク10L、グレータンクなし、トイレはカセット式、シャワーなし、ボイラーなし、右エントランス…。
※水道は加圧式じゃない様です。30cmぐらい長いので私のパジェロと連結すると9mを超えてしまう…(フェリー代が…(^^;)。

SCOTTYって貴重だなぁ…。

壊さないように大事に使おうと改めて思いました(^^;。

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