1997 13th SSER 2days

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とっても苛酷だけど、とっても楽しいSSER本戦

8月29~31日で、高知県梼原町でSSER主催で開催される、四国SUPER ENDURO RALLY 2DAYS(通称SSER本戦)に参加してきました。今年もグループNに出ようかと思っていたら、7月の初め頃に友人から「今年は本戦だ。日程が長くて面白いぞ、なーに、グループNが長くなったと思えばいい」という大嘘にはまり、気軽に参加する羽目になったのでした(面白いけど、グループNとはくらべもんにならん!)。

いざ梼原へ

28日の夕方から、バイクやキャンプ道具を効率よく積み込んで、いざ出発。途中のスーパーマルナカで、パンなど途中食べる物や翌日の朝食などを買い込み、32号線を延々と走って高知へ。
高知市のコンビニでビールなどアルコール類や、明日の暑さを考えてお茶などを買い、車、バイク共にガソリンを補充したあと、56号線197号線を走って、夜の11時ごろに道の駅に到着。周辺をうろつくと、少し離れたところに芝生ポイントを発見。車も横づけできるので、ここでテントを張って一泊。

翌日、会場に10時ぐらいに到着し、さっそくキャンプエリアを確認するとなんと一番のり。入り口に近くて少し日陰ができているところに場所を確保して、受け付けへ。受け付けでもらった記念品袋を覗くと、なんと茄子が入ってるじゃないですか。「帰るまではもたんよなぁ」と思いつつ、日陰にしまってからゴソゴソと車検の準備に入ります。
車検に行くと、フェンダー上につけていたフォグランプがメインライトの光軸に重なって影ができるからダメとチェックが入り再車検。フォグを取り外して、無事車検通過。結局ナイトランは、グループNと同じく、ノーマルヘッドライトにレイブリックバルブでチャレンジとなったのですが、新型レイブリックバルブは思ったより強力でした。車検に通ってしまえば、バイクはパルクフェルメ(保管場所で立ち入り禁止)に保管され夜の前夜祭会場への移動までなんにもすることはありません。デジカメで会場中を撮影しまくりました。

夕方から前夜祭会場になる梼原役場駐車場へバスで移動し、バーベキューの用意が出来るあいだ前夜祭会場に並ぶ屋台をうろつていたら、生ビールの旗が目につき、暑くて喉が乾いていたので、さっそく飲みながら展示されていた過去の本戦の記事などを読んだのでした。うろついているうちにグループNに出てたKDXの人を見つけて一緒に話しながら、でかいバーベキューと寿司を腹一杯食べ、満足。
ダーツを使った抽選では煮込みラーメンを確保することができて、なかなかラッキーでした(数からいって参加賞みたいなもんですが重要な朝飯になりました)。

午後8時にバスで会場へもどり混むことを予想して到着と同時に全力疾走で風呂へ。暗闇の中どの建物に風呂があるのか探し、なんとか他の人より先にたどり着いたのですが、これが大正解。3人づつしか洗えないうえに湯船にはお湯が入っておらず、一瞬にして洗い場待ちの長い列ができました(当然、私たちはトップ)。風呂から上がって少ししたころ、グランドの水銀灯が消えたので、明日の朝必要なプロテクターなどの装備をもう一度確認し、この日は早めに眠りにつきました。


プロローグ

翌朝、4時半ぐらいに顔を洗いにいく人達の足音で目が覚め、そのままテントでごろごろしていたら、KDXの人が現われ「体育館は、みんな動き出して寝てられん」とぼやきながら去っていきました。
自走で来ている人は荷物を減らすため体育館で寝る人が多く、昼は涼しくていいんですが、音がひびくもんで、安眠できないのが欠点でしょう。5時過ぎからライダーズミーティング。「第一ステージは140km、SSは5本コースはかなり荒れてます」という説明を聞き、6時のスタートを待ちます。3台づつ1分おきのスタートなので、私(187番)は7時ぐらいにスタートとだいぶ先。だんだん空が明るくなる中、早いゼッケンのスタートをのんびり眺めながら、前夜祭で手に入れた煮込みラーメンに記念品の茄子を入れて朝食にし、92番のKDXの人のスタートを撮影してから、のんびりとパルクフェルメに向かったのでした。

パルクフェルメからスタート台まではエンジンは始動できず。スタート台の坂は後ろの人に押してもらって上がることになります。XR600など、重いバイクは苦労します(レイドも重いので人ごとじゃないのですが)。
スタート台の上にあがったら、スタート合図までの間にエンジンを始動しないといけないので、キックでしかも始動性が悪いバイクは結構あわててました(結局かからずに、押してスタートする人もチラホラ)やっぱりセル付きが楽ですね。先にスタートした友人に待っててもらい、合流してからコースマークを頼りにリエゾンを走行。カルスト方面へ連れて行かれ早朝で気温が低く爽快な気分で気持ちよくクルージング第一SSのスタートCPに着くとすでにスタート待ちで大渋滞。「本戦でもやっぱりSSのスタートは渋滞するんやなぁ」と思いつつ、のんびり待って、いよいよ第一SS。

30秒おきぐらいに1台づつのスタートなので、砂埃も多少おさまり、だいぶましな状態でアタック。乾燥してすべりやすい路面にこぶし大の石がごろごろ。登り下りと多彩な上に距離が長い!しかしレベルの高い人が多いようで、昼間で前方がよくみえることも影響してるのか、みんな速い!道幅があって追い越しやすいので、2スト勢は石を巻上げ、凄い速度差で追い越していきます。砂埃の舞う中、全力で追いかけるのですがよく考えれば、30秒ぐらい先にスタートした私に追いついてくるということは、根本的に私よりアベレージが高いということで、追い付くはずもありません。しかし、そのぶんリスクも大きいようで、早くも崖側の林に突っ込んでいるバイクがあったり派手に転倒してボロボロになったマシンを起している選手がいたりで、最初からすごい状態でした。

最後の方は腕上がり状態になりながらもなんとかSSゴール。「長いSSやなぁ」と思いながら、次のSSへ向けて移動。朝で爽快な上に、カルストの壮大な景色を見つつのリエゾン区間は最高でした。高度が高いせいかパワーが出ず、エンジンを高回転に保ったままの巡航になりました。
しばらくすると友人がいきなり止まり、マシントラブルか?と思いきや「写真とるぞ、俺はカルスト初めてや」というわけで壮大な風景をバックに記念撮影。そのあと、ガレガレで乾燥しているいくつかのSSをこなし、結構疲れた状態でカルストの宿泊施設でトイレ休憩。ジュースを飲みつつ、この施設の向かい側にある壮大気色のなキャンプ場をながめたのでした。

のこりのSSも距離が長い上に、石がゴロゴロで荒れていて、毎回SSごとに2、3台に抜かれる状態でした(1台ぐらいは抜いたけど)。SSのスタート待ちで時間がかかったこともあり、ヘロヘロに疲れて会場に戻ってきた時には、すでに午後1時を過ぎてました。
しかしこれはスケジュールにかかれてある通りほんのプロローグ。この時点ですでにグループNより十分きついシチュエーションでしたが、夜のステージを走った後、第一ステージは本当にプロローグだったということを身を持って実感することになるのでした。到着後、1時間以内に再車検を通過してパルクフェルメにバイクを保管せねばならず。私は変更点が無いのでそのまま友人は夜用のスペシャルライトに変更してから車検を通し、テントへ戻ったのは2時前でした。


坂本竜馬恐るべし

昼ご飯のカレーを2杯食べ、予定では3時から第二ステージのスタートだったんで「休む暇が無い!」とぼやく友人やKDXの人に「第二ステージからは第一ステージの成績順やから、俺はのんびりできるで、メシ食いながらスタートを眺めても大丈夫や」とアホなことを言ってると、第一ステージが予想より伸びたので今後のスケジーュルを全て2時間ずらしますという放送があり、スタートが5時に変更になりました。「2時間もずらすってことは、後半のSSは少しキャンセルされるんかな」「そうやないと帰ってくるのが夜中になるぞ」などと言いつつ、テントでごろごろして、4時からライダーズミーティング。

「第二、第三ステージは、距離は160kmほどですが、SSが10本あります。特に7、8、9はハードです」という話。午前中の5本でもあんなに時間がかかったのに、よりハードなSSが入って10本かいな。しかも距離も長い、こりゃー全然キャンセルしとらん!

第二ステージは、最初の20台までがインタービューを受けながら1台づつ1分間隔でスタート。それ以後は4台づつ1分間隔のスタートなので、私のスタートは1時間以上先です。
友人のスタートを撮影してから、装備をつけてパルクフェルメに向い、バイクを押して順番待ち、このときは第一ステージのタイム順なので、周りは似たようなタイムの人ばかりです、横と前を見ると女の子。げげっ、負けとるやんかと思いつつ、聞いたら前に5回ぐらい連続で出てたそうで、今回は久しぶりの出場でまだ勘がもどらなくて遅いという話でした(本当はもっと速いんかいな!おみそれしました。しかし連続5回とは、はまってますねぇ)。暗くなりかけたころに、ようやくスタート。第1SSに着いたら、スタート待ちの大渋滞。さらに、その大渋滞の中をランクルが降りてきて道を開けるのに大騒ぎでした。このSSをスタートする時にはすでに完全に真っ暗となったのでした

最初の5本のSSは、第一ステージで走ったような石ごろごろの荒れた林道という感じで、ヘロヘロになりながらも、新型レイブリックバルブが予想以上に明るいのに助けれられ、なんとか無転倒で走り切り、中間ポイントに午後11時過ぎに到着。チェックカードを交換してもらい、中間ポイント出発が41分という指定を受けてから、配給されたパンと牛乳、バナナなどを座り込んで食べていると、先にスタートしたはずのKDXが中間ポイントにやってきました。

「あれ、先に出たはずなのになんで後ろからくるの?」と聞いたら「大変やったんや、パルクフェルメの中でバイクの鍵を落として探し回ってて、だいぶ遅くにスタートになってしまった」とのこと、俺よりあとにスタートしたわけね。全然気がつかんかった。「SS途中でメインタンクが空になってエンスト、バッテリーが無いからライトも消えて突然真っ暗な状態になって何も見えんまま壁をこすりながら止まった」というとんでもない話しを聞きつつ、時間が来たので中間ポイントをスタート。

即座に第6SS、転倒しているバイクや、紐が切れてあちこちに落ちているバックを見ながらなんとかクリア。7から9は難所と言ってたので、リエゾン区間をゆっくり走って体力を確保し、いざ第7SSへ。

最初は普通の林道っぽい感じでしたが、途中から坂本竜馬が江戸へ向かって走り抜けたという、獣道のような細い道がくねくねとつづきます。腕の力が無くなってきてることもあり、ふらふらしながらもなんとか走っていると前走者のテールランプが見え隠れしてきて「おぉ、俺の方が速い」と調子にのって追いかけていたら、濡れた丸太で作ってある溝にフロントを取られて見事に転倒。下り坂でフロントが溝に落ちてる状態になって、すでに腕の力が無いのもあわさって、脱出するのに数分もがきました。

しかし、難所はこんなものではありませんでした。そのちょっと先に、この獣道のような状態でのながーい登り。一番急角度なあたりで何台もが捕まっていてもがいています。そのすき間を縫うように登ったんですが、私も最後の方で捕まりました。路面は濡れててズルズル。みんな体力を使い果たしていて自力で押し上げるのは不可能な状態で、座り込んでいる人もいました。周りの3人で1台づつ押し上げ、時間はかかりましたがなんとか通過。このSSのゴール後には体力を限界まで使い果たした選手のバイクがずらっと並び、みんな道端に転がっているという凄い光景が広がってました。

私もふらふらで、その仲間に加わりたいぐらいだったんですが、止まると暑くて、走っている方が涼しいので、もってた水を少し飲んでからリエゾンをとんでもなくゆっくり走って、次のSSへ移動しました。このリエゾン区間の街灯付近にもバイクを止めて寝転がってる人が結構いました(睡魔に耐えれず、眠っている人もいたようです)。

第8SSは危険を示す"!!!"マークがあり、超特大のヒルダウンとヒルクライムがありました。グループNの時のとは比べ物になりません。まさに壁!下りは先が見えないまま真っ逆さまに下り(またエンジンストップしてしまいました)、登りは腕の力が残ってないので一発勝負とばかりに、助走をつけ、勢いと微妙なアクセル操作で一気に登り切りました。このヒルクライムはそれなりの腕がないと転がり落ちることになるでしょう(去年はラリーレイドモンゴルの優勝者がしくじって転がり落ちたそうです)。坂の途中で止まったら、再発進どころか、バイクを止めておくことも不可能な角度です。当然、ここを登らないと先へ進めないので、登れない人は完走すらできないことになります。この特設セクションを超えてもSSゴールまでは結構な距離があり、ここで完全に体力を使い果たしてしまいました。

立っているのも辛い状態で、持っていた最後の水を飲み干し、ほとんど精神力だけでリエゾン区間の林道(林道のリエゾンは休憩にならーん!)を走って最後の難関、第9SSへ向かいました。第9SSも坂本竜馬が駆け抜けたという道(こんなとこ駆け抜けるな)。狭い道に、バイクが半分ぐらい、すっぽり入ってしまうほどのV溝がつづき、超ハード。溝につかまりもがいている人や、力尽きてバイクの横に座り込んでいる人もいました。溝につかまったら同じ運命になるので、ペースを落として正確に走り、なんとか走破。

さすがに限界で手持ちの水も飲み干していたので、リエゾン区間で自動販売機を探して、ジュースを飲んでしばらく転がってました。みんな同じ状態なようで、ふらふらと自動販売機に群がってきて転がっています。休んでいる人はみんな体、バイク共にボロボロで、体は泥だらけ、ウインカーが割れたりハンドルが曲がったりの状態。私のバイクに損傷が無いのが不思議なぐらいでした。10分ぐらい休んでから、最後の力をふりしぼり最終SSへ向けて出発。ここでメインタンクが空になり、リザーブに切り替えてから真っ暗なリエゾン区間を一人で黙々とひた走り、最後のSSをめざしました。ミスコースしたかなと不安にかられたころにようやく最後のSSスタートポイントにつながる分岐を発見。


なんとか完走

第10SSは、昼に走った林道の様でした。最後の力を振り絞って走りましたが、とんでもなく過酷なセクションを抜けてきたせいか、普通の林道(とはいってもガレガレなので、普通とは言わないでしょう。これを普通と呼ぶのはSSERだけでしょうな)は少し楽に感じたほどでした。SSのゴールCPでタイムを書き込んでもらっているところで、さっきの自動販売機で話した人と一緒になり、時間を聞いたらちょうど午前3時。

そのCPで一緒になった2人と一緒にゴールの会場をめざしてリエゾンを走って、午前3時過ぎにようやくゴール台の上に登りました。まだ帰ってきていない人が多いためか(この時点で100台近くは後ろにいたはず)、会場に用意されたテーブルには帰ってくる選手を待っている人がたくさん起きてました。

よろよろとパルクフェルメにバイクを収納し、少し寒かったんですが汗でベタベタだったので、水のシャワーで頭を洗い、さっぱりしてから夜食をもらいに行きました。うどんを食べるため盆をとり、おばちゃんにうどんをのせてもらったら、しっかり持ってるつもりが、手首の力が無くてカクッと盆が傾きうどんを捨てそうになって慌てました(笑)。そのぐらい限界まで体を使ったというわけです(体力不足というのもありますが)。

うどんを食べてからテント戻ったら、ようやくゴールしたKDXの人が来てて「坂本竜馬の道の登りで捕まって、バイクがオーバヒートして水蒸気を吹いたんでしばらくそこにいた」とか「ヒルダウンで降りたあとにある段差でひっくりかえった」とか「足が2回もつった」とかズタボロな話しを聞き、4時過ぎぐらいにようやくシュラフにもぐりこんで時折帰ってくるバイクの音と向かえる拍手を聞きながら眠りについたのでした。


筋肉痛と勝負

翌日は9時過ぎぐらいに起き出しましたが、体はボロボロで筋肉痛の嵐。ちょっと動くのに唸り声をあげる状態でした。ま、しかし用意された朝飯はしっかり食べ、発表された暫定結果を見ると、326台中、231位とナイトランで何十台か抜いて成績を上げるという結果になっていました。明るいときに速い人が暗闇でも速いとは限らないわけですね(あの闇の中の過酷なステージから考えて、精神面でくじける人が多かったんじゃないでしょうか)。目標の完走を達成した上に、この成績は大健闘と言えるでしょう。

表彰式の終了後、筋肉痛できしむ体を動かして、テントなどを撤収。装備なんかは前の夜に散らかし放題にしてるので、きしむ体では荷物をまとめるだけで一苦労でした。プロシードを近くに持ってきて、バイクと荷物を積み込んで帰る準備をしていると、KDXの人が荷物満載で自走で帰っていきました(煮込みラーメンの箱が飛び出してました(笑))。
忘れ物がないよう荷物を積み込み、会場を撤収するカミオンを眺めてから、梼原をあとにしました来年はもっと体力作りをしてチャレンジしたいところです。

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