1998 14th SSER 2days

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`98 SSER本戦 去年に輪をかけて苛酷でした。

8月28~30日に高知県梼原町でSSER主催で開催される四国SUPER ENDURO RALLY 2DAYSに参加してきました。今年はバイクのトラブルが出たうえに、脱藩の道も長い!とっても苛酷でした。ボロボロになりながらも、次も出ようと考えてしまうこのレース。不思議な魅力をもったナイトラリーは出ないと損です。オフバイクに乗ってる人は是非出ましょう。

準備はバッチリ

8月28~30日にSSERが主催する、四国スーパーエンデューロラリー2days(通称SSER本戦)に参戦してきました。今回はバイクの準備はバッチリ。ロービーム側を補助するライトや、飛び石対策のライトガード、PPシートで自作したゼッケンプレートなど文句無しの状態です26日の夜中に友人が到着することになっていたんで、レイドの最終整備などを軽くやってから、夜11時ごろにどのへんまで来てるか携帯に連絡を入れてたら、DT50にトラブルがでて今まで修理してたらしくて、まだ大阪のガレージにいました(おぃおぃ)。結局、トレーラーを引いたパジェロが納屋に到着したのは午前4時過ぎのことでした。

翌日は9時半ぐらいに起きだし、プロシードにレイドや荷物を積み込んで出発準備。今回は荷物が多いので1台にまとめるのは少々辛いということになり、豪華に2台で梼原に向かうことにしました。ごっそり荷物が積めるので、全ての工具とパーツ、キャンプ道具など、これでもか!というほどの荷物になってしまうのでした。

お昼ごろに出発。時間はたっぷりあるので、国道32号を高知へ向かってのんびりと走ります。途中のマルナカで、晩飯の食材を買い込んだりしながら、夕方ごろに高知の南国へ到着。道の駅でひと休みして、いろいろ話し込んでから再出発したら、見事に通勤ラッシュの時間帯。おまけに途中で路面電車を見物したりしたんで、完全にラッシュに巻き込まれてしまいました。

渋滞でだいぶ時間をとられ、途中でバイクに給油したりして、予定よりだいぶ遅れて須崎に到着。風呂に入るため電話帳で銭湯を探し、ナビで場所を検索します。ナビに登録されていたんで案内をたよりに走ると、なーんか怪しい場所。ひなびた商店街のせまーい道をグルグルさまよって、ようやく怪しい雰囲気の銭湯を発見することができました。風呂に入ってさっぱりし、今日のキャンプ予定地の道の駅(布施ヶ坂)をめざします。予定より少々遅れたものの、9時ぐらいに到着。晩飯に大量の焼そばと焼き鳥を食べ、この日は11時過ぎぐらいに眠りにつきました。

さて翌日、いよいよ会場へ乗り込みます。テントなどを片付けてから、会場の大越グランドへ向けて出発。9時半ぐらいに到着すると、去年と同様でキャンプエリアは1番乗りでした。ところが、今年からは荷物を降ろすのにキャンプサイト横へ車が止められなくなったようで参りました。結局パジェロにつながっているトレーラーを外し、このトレーラを大きな台車として使うことで荷物を移動させました。アルミコーティングシート2枚とUVカットシートをタープ替わりに張って、そ
の下にテントをたててキャンプサイト完成。たった2人しかいないのに、5、6人体制のような豪勢なキャンプサイトです。アルミコーティングシートの効果は絶大で、このシートの下に入るとヒンヤリするぐらいでした。昼間を快適に過ごすための装備があると、キャンプサイトでも十分快適です。

まずは受け付けを済まし、腕輪をつけてもらってから車検を通すための準備に入ります。プロテクターなどの装備品と笛や非常食などを確認し、タイヤの空気圧を調整します。第2ステージでつけるライトユニットも持って車検場所へ。まずは友人のDT50がチャレンジ。フルにいじくっているわりには外見はノーマルDTなんで、改造箇所は問題なし。シャフトの割ピンが入ってない点がチェックされたものの、いそいで割ピンをつけて無事に車検通過。私の方は、夜につけるライトユニットを見せて説明してから車検開始。ライト以外は改造箇所がないこともあって、すんなり車検は通過しました。

車検を通過するとバイクはパルクフェルメに保管となり、整備などは一切できません。本来は立ち入り禁止なんですが、今回は車検受け付けへのルートがパルクフェルメとひっついてることもあって、保管済みのバイクを写真撮影することができました。改造バイクがゴロゴロ集結してるので、他人の改造をじっくり見たり、写真撮影したりできる時間があればいいのになーと思うとこです。


嵐の前の静けさ

キャンプサイトにもどって、快適にすごせるように荷物を整理し、昼飯がわりにもらえる焼そばを食べてのんびりくつろぎます。ごろごろしてたら、いつものKDXの人が到着しました。今回はキャンプにしたようで、軽トラでキャンプ装備や工具を持ってきてました。車になるとだんだん荷物が増えるようです(笑)。KDXの車検をのぞきにいくと、去年のオーバヒートに懲りたのか、ラジエターに電動ファンをとりつけてました。

会場のあちこちをデジカメで撮影してまわり、またキャンプサイトでゴロゴロ。初日は車検を通してしまうと、夕方7時からはじまる前夜祭まではのんびりしたもんです。私は涼しい日陰でサマーチェアーに寝転がり、ビールを飲みつつSSER PRESS(SSER発行のミニ新聞みたいもの)を読んですごしました。この嵐の前の静けさも、このレースの特徴ですね。

今回はレース会場で前夜祭が行われることになっていたので、風呂のタイミングが微妙です。前回は前夜祭会場から戻ってくる最初のバスにのり、降りた瞬間に風呂へ向かってダッシュするという技でトップをとったんですが、今回はその手は使えません。風呂の時間割をみると夕方6時までが女性、7時から男性になっています。晩飯は6時半から...、普通に考えれば6時半の晩飯を食べてから風呂へ、という順番ですが、6時までで女性の時間が終るのに目をつけ、少々フライングで6時半に風呂へ。これが大成功。2年連続で3人とも風呂のトップをおさえることができました。しかし、似たようなことを考える人はいるようで、数分とたたないうちに洗い場待ちの行列ができたのは言うまでもありません。

風呂から上がって、おなじみの大きなバーベーキューの晩飯をもらって食べます。ステージで梼原の郷土のおどりが披露されたり、大型プロジェクターで去年の2daysの全選手の走行写真が連続で上映されたりするのを眺め、夜9時過ぎに早めに眠りにつきました。

翌朝は、午前4時過ぎに目を覚まし、ぼーっとした頭でコーヒーを入れて飲みます。まわりもだいぶ起き出してきてるようで、トイレにはすでに行列ができてました。5時ぐらいに水銀灯が点灯しはじめ、5時20分からライダーズミーティング。リエゾン区間で交差しているところがあるので勘違いしてミスコースしないように。という注意を聞きます。本来は1ステージの結果で2ステージのスタート順番が決まるんですが、今回は昼12時までにゴールした選手のみが順位順のスタートとなり、それ以後にゴールした選手はゼッケン順ということでした。参加台数は293台で、私は230番、友人は229番、KDXの人は263番。4台づつ1分おきのスタートなので、順番がまわってくるまで1時間以上あります。続々とスタートしていく選手を眺めながら、御飯炊いて焼飯を作って食べてから、プロテクターなどの装備をつけてパルクフェルメへ向かいました。

バイクのエンジンはスタート台にのってからでないと始動してはいけないので、押してスタート待ちの列に並びます。少々曇り空の下でスタートし、友人と合流してリエゾンを第1SSへ向かって走ります。DT50はエンジンがあったまってないからかスピードが出ず、手で合図して後続車を先へ行かせながら、のんびりとしたリエゾン走行になりました。アドベンチャークラスはリエゾン走行も辛いようです。 

第1SSは腕慣らしの感じで少々抑えぎみに走ります。路面はガレガレで石がごろごろしてる上に距離も10kmと長めです。タイム的にはDT50の友人に負けているようでした。リエゾン区間でDT50のスタンドをワイヤリングし、追い付いてきたKDXの人と合流して次の第2SSへ。ここも似たような感じの路面の長めのSS。下りが長くてペースが上がらなかったものの、腕上がりすることもなく最後まで走り切れました。1ヵ月間やった自転車トレーニングの成果が少しは出ているようです。またリエゾンを走って次は第3SS。ここでは昼間からコーションマーク(危険を知らせる!マーク。数が多いほど危険度が高い)があり、土砂崩れの横を通り抜ける箇所がありました。おまけにそのすき間にも人の頭ぐらいの石がつまっていて、一気に通過しないとバランスを崩してひっくりかえります。

リエゾン区間で休憩して、第4SSへ。このSSはわりと調子がでてきたんで、気合い入れて走ります。ブンブン飛ばしていると登りで先にスタートした友人に追い付きました。こいつををSSで追い抜くなんてなかなかできないんで、ここぞとばかりにパワーにものいわせて抜き去りました。そのあと2台ぐらい追い越して下りに入り、道が細くなってきたかなと思ったら、でました坂本竜馬脱藩の道。まさか昼間のステージから出てくるとは!気合い入れて走るものの、あっという間に友人に追い付かれました。道を譲って先に行かせると、小さいDT50でクネクネ曲がった下りの脱藩の道を猛スピードで下り、あっという間に視界から消えました。うーむクレイジー。このあとにもう1台抜いてゴール。

第5SSは荒れた普通の林道で、第2ステージの最終SSなので、気合いを入れて走り、またもや登りでDT50を捕え、追い越します。登りで差をつけるべくブンブン走り、下りになってから追い上げられたものの、なんとかゴールまで逃げきりました。

昼を過ぎていたんで、リエゾンをさっさと移動し(といってもDT50がいるので制限速度以下の模範走行でしたが)、指定給油場所で第2ステージに備えて給油します。入ったガソリンは5リッター。110kmぐらい走っていたんで、リッター22kmぐらいの燃費でした。全開走行のSSがあるとこんなもんでしょう。ここでバイクに縛っていたカッパをSS走行で落としたことに気がつきました。がっちり縛っていたつもりなのに、ショック。


ライトを装着

1時前ぐらいに会場に戻り、チェックカードを渡してから再車検の準備に入ります。再車検は1時間以内に通過させないとペナルティとなるので、手早く第2ステージ用の整備とライト取り付けをしなといけません。一旦キャンプサイトに戻って着替え、補助ライトと工具を持って再び整備場所へ。

正面に取り付けてるゼッケンプレートを一旦外し、自作アルミステーの土台に補助ライトをしっかり取り付けてから、ゼッケンが隠れないように少し高い位置にプレートをつけ直します。レイドの場合、メインのヘッドライト周りをいじる必要がないので作業はだいぶ楽です。ライトの点灯状態を確認し、配線をタイラップで固定して完了。再車検では補助灯とヘッドライトを点灯した状態でウインカーやブレーキランプ、ホーンなどの動作をチェックされましたが、発電量の多いレイドは何の問題も無し。簡単に通過しました。

KDXの人は、ヘッドライトをノーマルからデュアル(Bajaのユニットかな?)へ交換してから再車検を受け無事通過。

友人はわりと大忙し。減ってる2ストオイルを追加し、バッテリーも交換。そしてとどめは巨大ライトの装着(正面から見るとDT50には見えん)。あと、電圧をチェックできるように、急遽デジタル電圧計をゼッケンプレートの裏に装着しました。小さい車体に巨大なライトをつけ、しかもレイブリックの130W相当のバルブがフルパワーで点灯するという強烈な状態で再車検。補助灯までフルにつけた状態でのウインカーやブレーキランプのチェックもすんなり通過し、再車検完了

まず腹ペコなので、昼ごはんのカレーを2皿とってきて黙々と食べていると、はやくも2時になりライダーズミーティング。今年は進行が予定どおりなので第2ステージは午後3時スタートです。第2ステージはSSが10個あり、第3SSと第8SSが厳しいという話しを聞きます。私たちのスタートは4時ごろになるので、ライダーズミーティング終了後に、ダッシュで梼原の町中にあるコンビニへ買い出しに出発(勝手知ったる梼原の町)。私は午前中に落としたカッパのかわりに簡易レインコートと、持って走るためのポカリスエットを買いました。

もどってきて、ちょっとゴロゴロすると、もう第2ステージのスタートがはじまりました。デジカメのバックアップしたり、キャンプサイトを整理したりしてから、装備品を装着してパルクフェルメへ。今回は予定通りの進行のためか、時間的に結構あわただしいです。


トラブル続出

4時ぐらいにスタートしたので、第1SSは明るいまま通過。DTがオーバーヒートぎみらしいので、リエゾンで湧き水を探して走り、ラジエターの水補給と、ライト配線の変更(どうも接続コネクターがおかしくて予定より暗かったらしい)をやります。ごそごそ作業してたら早くもKDXの人が追い付いてきました(昼のステージを12時過ぎてゴールしたんでゼッケン順にスタートしたからだいぶ後ろだったはずなのに)。ん!ライトがなんか変な感じ。よくみたら左側のレンズが無くなり、ガードも歪んでます。さっきのSSで転倒して壊したとのことでした。バルブもダメで、しかも特殊なバルブなんで私らがもっている予備もあいません。右側のライトは無事なので、光軸
を変更してしのぐこととなりました。

配線変更の作業がけっこうかかり、後続の選手が全然こなくなりました。もしかして最後尾では...と思っていたら、最終のスタッフカーが追いついて、見事に最後尾。急いで出発し、第2SSへ向かいます。第2SSへつくとスタート待ちの超大渋滞(慌てることなかった)。しかし最後尾でスタッフカーにじりじり追い詰められながらのSS待ちは、なかなか体験できないことでしょう。ここで日が落ち真っ暗になるのでした。

第2SSを抜け、リエゾンを通過して第3SSへ。ここは難所といってただけあって、細い獣道のような急角度の道を延々と谷底へ下り、そのあと下った分だけ登って上へ出てくるというながーいルートでした。自然の林道や獣道はマシなものの、新しく作ったらしいできたての道はズルズルと最果てなくすべる感じがして、下りの谷側の闇もぜんぜん見えないので、結構びびりました。ま、しかし、補助灯の効果が大きく、ヘッドライトのハイビーム+補助灯で進行方向のラインをほぼ照らすことができて、ノーマルヘッドだけだった時にくらべると、視界的にはずいぶんマシだったので気分的にはリラックスして走ることができました。

第4、第5SSもハードで狭い廃道のような箇所があったものの、なんとか無転倒でクリア。ところが先にスタートしたはずのKDXがいません。狭い場所が多かったんで、転けてたらわかるはずなんで、もしかして落ちたかなーと思いつつ、リエゾンを少し進み、広い場所で友人と共に待ってみます。少しすると追い付いて来ました。どうやら狭いところで半分落ちたようです。ギャップにふられてコース外にフロントを落とし、しかもバイクが木と木の間にがっちり固定されてしまいどーにもならない状態だったようでした。他の選手が手をかしてくれて(お助けマンを趣味としている人もいるようです)なんとか復帰できたようです(運がいい)。私や友人が通過したときは、ちょうどそのお助けマンのバイクの陰になっていたようで、KDXを見落としてました。

このへんのSSから、私のレイドはときどき1速にギアが下がらない症状がではじめ、リアブレーキもときどき、キー、キーと鳴きが出るようになってきました。でも、SSゴールしたあとのリエゾンでは問題ないので、ハードに走っているときに熱のせいでなるのかなーとぼんやり考えてしました。

第5SSを終了してから、リエゾンを走り中間ポイントへ。ここで強制的に20分の休憩と軽い食事を取ります。今回の品はトマト、ウォーターインゼリー、菓子パン、缶コーヒーでした。休憩後に再出発。このときは同時に10台ぐらいがスタートとなりました。スピードが出せないDT50が前にいると迷惑なので後続車を先にいかし、KDXとレイドでDT50をはさみこんでリエゾンを走行。少し走ると給油ポイントに到着しました。しかし、ここで超大渋滞。私は給油の必要がないので眺めていただけですが、まーそれにしてもこれだけバイクがつながるかなー。というほどバイクがずらっと並んでの給油待ち。ここで30分以上時間を費やしました(またスタッフカーに追いつかれた)。

給油後、第6SSへ。このSSもがんがん走っていると、キーキーというリアブレーキの鳴きがだんだんひどくなってきます。細い下りでのブレーキターンや急減速の繰り返しでリアブレーキに負担をかけて引きずることが多いことも原因だとは思いますが、とくに深くは考えずそのまま走り、SSの後半でDT50に追い付きました。夜の下りのSSで追い付くというのも妙だなと思ったらDTのリアフェンダーがぶらぶらしてます。どうやら振動に耐えられず、フェンダーの付け根の溶接が折れてしまったようです。ここでレイドにも異変が!リアブレーキの踏みごたえがなくなり、まったくリアブレーキが効かなくなってしまいました。ペーパーロック現象を起こしてしまったようです。幸いSSのゴール直前だったので、フロントブレーキだけでゴールまで走りきりました。

なんとかSSのゴールはしたものの、レイドのリアブレーキはクニャクニャで踏みごたえなし。キャリパーも物凄い熱をもった状態です。さらにもっと深刻なのが友人のDT。リアフェンダーの異常に気づいて落とさずに走ってこれたのはラッキーでしたが、溶接したとこが折れているので簡単に修理というわけにもいきません。当然、リアフェンダーがないと公道走行が不可能なので、なんとか修理しないと先に進めません。街灯があるところまで進んでから、本格的にDTの修理にかかります。幸いテールランプの配線系統は接続しているカプラー部分から奇麗にはずれていたので損傷なし。つなぎ直す程度で復活しました。問題はどうやって力のかかるリアフェンダーを支えるかです。うんうん考えているとKDXの人が近くに捨てられていた塩ビパイプを見つけてきたんで、これを支えにし、針金やタイラップベルトを使ってなんとか修復。しかし、オフィシャルに現地の物を使ってはならないとチェックを入れられ、残念ながらボツ。もういちど所持している物だけで知恵をしぼります。私が持っていたメガネレンチがフェンダー上の穴の位置にあうので、これをフェンダーにボルト止めし、反対側をフレームにタイラップベルトで固定。もう一箇所はタイヤレバーを添えて針金とタイラップで固定し、あとは最悪でもリアフェンダーを落としてしまわないように、いろんなところにタイラップをかけて締め上げました。

軽く走行した感じでは、わりとしっかり固定されているので、我慢のペースで、出来るだけ衝撃が少なくなるように走ればSSを通過できるかなという感じ。私の方は取り敢えずブレーキまわりが冷えたせいか、一旦リアブレーキは復活しました。しかし、ここからがSSの本番。この状態で脱藩の道を抜けれるのか不安を抱えたまま、第7SSへアタックとなりました。

第7SSは、先にスタートした友人に後ろから追い付き、リアフェンダーの状態を観察。ギャップを越えたときに大きめに上下しているものの、なんとかもちそうな感じ。このペースなら大丈夫っぽいということを友人に伝え、先に走ります。取り敢えずリアブレーキが復活してるので、第8SSからの難所までに症状を把握するべく、いままでと同じペースで走ってみます。するとやはりSS後半でキーキーと鳴きだし、効かなくなりました。すぐにリアブレーキを使わず、フロントブレーキだけでを使ってペースダウンして走ったので、SSゴールの時にはリアブレーキは復活しました。つづいて友人も無事SSゴール。ここでDTのリアフェンダーをガムテープでぐるぐる巻きにして、さらに補強ししてから次の脅威の第8SSへ。


長い脱藩の道

第8SSは、リエゾンの走行順番のまま、KDX、DT、レイドの順番で30秒~1分おきでスタート。最初のうちは普通の林道っぽい感じで、この区間でDTに追いつき、ちょっとフェンダーを確認し、追い越して先へ進みます。このSSは12km近くあり、難所と明言されているので、どんな苛酷なセクションが待ち受けているかわかりません。巨大なヒルダウンとかでリアブレーキが効かないと一発でアウトになるので、リアブレーキ温存するためできるだけフロントブレーキだけで走ります。しばらくすると、出ました脱藩の道。くねくねと極端に狭い道が続き、SUPER-Nの斜面下りを思い出すような急角度の下りターンが出てきます。リアブレーキが効かないと一発でコースアウトする箇所だけは、ギアを入れたままエンジンストップさせ、降りてリアをひきずりながらターン(リアがロックしてても引っぱれるほど路面はズルズル。もちろん普通にフロントブレーキ握ったぐらいでは、そのままコース外へさよならです)。なんとか下ると、こんどはロックセクション、強烈な岩がゴツゴツしている急な下り。このあたりにも横の斜面へ転落してるバイクがあちこちに見えます。ここもリアブレーキが効かなかったら一発でアウトなんで、半分までは降りて押して下り、途中から乗ってエンジンブレーキと心もとないリアブレーキで下りきりました。

その先、少し進んだところで左側が急斜面の壁になっている狭いコースの、ほぼ道幅いっぱいにへこんだ穴がライトに浮かび上がりました。一瞬、通過できる範囲の深さだと判断したんですが、これが大間違い。まるでパワーショベルでごそっと穴を掘ったような深さがあることに気がついたのは、穴の数十センチ手前でした。このとき右側の2mぐらい下の木々の中に重なるように2、3台のバイクが転落してるのが目に入り、しまったー!このギャップでみんな落ちたのかー!と理解したものの、もう止まりません。ブレーキングして突っ込むとつんのめって間違いなく転落だと思いスタンディング状態で出来るだけショックを吸収するように体の力を抜き、あとはレイドのサスにまかせて突っ込みました。乗り越えれるだけの勢いがついていたのと、レイドのフロントがつんのめらず穴の向こうへ出てくれたこともあって、バイクはだいぶ暴れたものの、なんとか転落はまのがれました。手前にコーションマークが無いのを恨めしく思いつつも、ラリーでクラッシュするのはこういう箇所なんだろうな、と妙に納得しながら気をとりなおして先へ進みます。

さらに先へ進むと、ラインがタイヤ1本分ぐらいしかないく、左側が山の急斜面の壁。反対側は崖で2、3mぐらい下にアスファルト道路という無茶苦茶シビアな場所で、バイクが1台ひっくり返ってました。右側はコンクリートの垂直な壁で、下のアスファルトのところまでガードレールもなければ、引っかかる木や草もありません。バイクどころか、人間も足を踏み外したら転落です。おまけにその幅は極端に狭くて、まさにグラっときたら終わりという場所。KDXの人も先へ進めずここでストップしてました。友人も追い付いてきたんで、足場のシビアな場所で3人がかりでエンジンのかからなくなったバイクを起こし、ゆっくり押して慎重に先へ進め、少し広くなったところへ移動させました。

そして自分のバイクへもどって再スタート。絶対に転落しないよう山側にバイクを傾けながら、なんとか通過。そしてここから脱藩の道の真髄の狭くながーい登り。急な登りで路面ずるずるの状態な道が急角度で曲がりながら延々と続きます。このへんでもあちこちでコース外に転がっているバイクや、木にバイクを立てかけ、力尽きて座り込んでいる選手をどれだけ見たかわかりません(座り込んでいる選手から声援を受けたりもしました)。しかも、今年はこれでもか!というぐらい登りの距離が長い!路面の状態も悪く、止ったら再発進できないかも知れないと思い、とにかく失速しないように延々と登り続けました。なんせ幅が狭いので、1台がスタックしているとその横をすり抜けるのが精一杯。コーナー部分なんか、へたにバランス崩すと林の中へつっこんで終わりですKDXの人は私の前でバランス崩して失速寸前。完全に止まる前に押して走ってから飛び乗るわざで復活してました。幸いにも最後尾からのSSアタックだったので、数台が絡んですり抜け不能になっている場所がなかったのがラッキーでした。

登りきって狭いものの平坦な道になり、少し走ったところで左への直角コーナー。しかし、真直ぐコースの外へタイヤの轍がのびているのを一瞬コースと勘違いし、減速が遅れてオーバースピードでリアが効かないかも、という思いが、フロントだけを強くかけるパニックブレーキになり、左へハンドルをとられた状態で勢いよく転倒。一気に転倒したのがよかったのか、なんとかフロントが落ちる10cmぐらい前で止りました。バイクを起こすと、レイドの重さで路肩が崩れてフロントがずるっと落ちかかり、叫び声をあげつつ慌てて後ろへ引きずり出しました。まったく冷や汗ものです。


ミスコース

だんだん道幅が広くなり、普通の林道らしいコースをSSゴールへ向かって延々と走ります。このへんでも登りのUターンのような部分で、フロントブレーキをかけすぎて転倒。リアブレーキが効かなくなるかもというプレッシャーからフロントをかけすぎてしまうようです。バイクを起こし、
かぶってかかりにくくなったエンジンをごまかしながらかけ、先へ進みます。しばらく行ったあたりで先を走っていた選手(ランツァ)を追いこしました。このときどうやら間違えやすい分岐ポイント付近だったらしく、完全に標識を見落として、痛恨のミスコース。路面にタイヤの轍があるのをいいことに、疑いもせず先へすすみ、これまたタイヤの轍があり右上へ急角度で登る林道へ入りくねくねと急角度な道を登りきると、なんと行き止まり。少しするとさっきのランツァの女の子も追いついてきました。どう考えてもミスコースなんで、とりあえず急角度に登りはじめる前まで戻ります。曲がるポイントの奥に少し道があったんで、ここも覗いてみるものの、こっちも行き止まり。周りにも標識はみあたりません。ここまでの間にどっかで間違えたのは確かですが、俺もランツァの女の子も標識を見た記憶は無し。間違えて本来のコースを逆走すると失格になるので、標識を見のがさないようにゆっくり慎重にもどって、2つめの分岐でようやく分岐を指示する標識を発見。コースに復帰し、残る力を振り絞ってSSゴールまでの登りの林道を走って、ようやく第8SSゴール。

後ろを走っていた友人は、だいぶ先に着いてました。ミスコースしたポイントは何人も間違えているようで、そのためにタイヤの轍があったようです。見事にはまってしまいました。まいった、まいった。しばらくするとランツァの女の子もゴールしてきました。話しを聞くと私が落ちかかった直角のコーナーで転落したようで、あの轍はランツァのものだということが判明しました。他の選手が手伝って引き上げてくれ、なんとか復帰できたようです。少し先の自動販売機まで4台で走りジュース飲んで休憩。力尽きかけている女の子に、厳しいSSはここまでとスタッフが言ってたから、残りのSSは走破できるはず、とハッパをかけてから(が、しかしその情報は大間違いでした)先に3台で再出発。友人のDTがオーバーヒートで冷却水を吹いていたんで、途中の湧き水で水を補給。びっくりするぐらい水が入り、完全にオーバーヒート状態でした。ここでモタモタしている間に、後ろから追い上げてきた女の子らに追い越されました。

さて、第9SS。なんかスタートの位置に見覚えがあります。もしかして、これは強烈なV溝のSSでは...。スタートすると予感的中。バイクがすっぽり入るV溝の連続。疲れて思うように動かない手足でなんとか走っていると、途中につきだしている岩にバイクの腹がガッチリひっかかってストップ。溝が狭くて力がかけにくいこともあって、しばしもがきました。なんとか無理矢理バイクの位置をずらして強引に復帰。そこから先は、とにかく脱出不能にだけはならないように慎重に走りました。途中で止っていたランツァを追い越し(こけたらしい)、なんとかSSゴール。   

ランツァもゴールしてきたので、みんなで、「もうへんなSSはないやろ。去年も最終SSはたいしたことなかった」などと言い(この考えも甘かった)、6、7台でつらなって最終の第10SSへ向かってリエゾンを走ります。結構長い距離を走って第10SSに到着。最後の力を振り絞ってSSスタート。SSの距離が短いのを不審に思いながら少し走ると、でたー!脱藩の道!ほんとに今回の2daysは最後の最後まで気を抜かしてくれないようです。道幅が狭く、先が見えないコースを、遠慮なくリアブレーキを使いながら慎重に走ります。下手に速度を落とすと逆にバランスを崩しかねないので難しいとこです。少しブレーキが鳴き始めてきたところで、遠くに水銀灯で照らされた場所が見えました。私はてっきり最後の最後に巨大なヒルダウンやヒルクライムのセクションがあるのでは?と思い、そこからはリアブレーキを温存するべく、フロントブレーキだけで走行。しかし、大きなセクションは現われないまま、SSのゴールが現れてホッとしました。

会場に戻るべく3台で走り出すと、なんと会場のすぐ横に出てきていたのでした。水銀灯で照らしているのが見えたのは、大越グラウンドだったというわけです。結局ゴールしたのは午前4時過ぎゴール台に登り、チェックカードを渡してからフラフラとパルクフェルメにバイクを戻していたらランツァを含む女の子らも無事ゴールしてきました。あの第8SS走破後の限界の状態から、第9第10SSの苛酷な脱藩の道を抜けてきたのは立派。さぞかし人生観がかわったことでしょう。

風呂が使えるようだったんで、疲労と睡魔と空腹と戦いながら風呂に入り、風呂からあがってからビールを飲みつつ、晩御飯(朝?)のうどんとおにぎりを食べました。だんだん空が明るくなり、午前5時過ぎぐらいに、今回は24時間近くレースしてたんだなー、としみじみ思いながら眠りにつきました。


ミスコース

翌朝は9時過ぎに起き出しましたが、さすがに朝5時ぐらいに腹いっぱい食べているので、朝飯は食べる気がしません。昨日の第1ステージで落としたカッパが落とし物として発見されてないかなー、と淡い希望を抱いて本部テントへ行くと、ありました!しっかり落とし物として拾われていました。よかった。

テントサイトに戻って、表彰式を眺めつつ痛む体にむち打ってゆっくりと片付け開始。今年はだーれもサポートに来てくれなかったので、たっぷりの荷物でちからしていたこともあって、片付けにひぃひぃ言いました。時間をかけて少しずつ荷物をまとめ、途中まで片付けてから、痛む体を引きずってバイクをパルクフェルメに取りに行きます。ついでにステージに貼りだされていた暫定結果を見ると、出場台数293台中、私は215位。友人は202位でした。今回は第8SSでのミスコースが大きくひびきました。しかし惜しかったのは友人のタイム。アドベンチャークラスのトップとのタイム差は2分程度しかなく、ペースダウンがなければトップだった可能性が大。ま、しかしライディング技術だけでなく、状況判断やマシンの完成度など、なにもかもが結果に大きく影響する、それがラリーなので仕方ないとこでしょう。次回に期待です。

きしむ体にエアーサロンパスを吹いて無理矢理動かし、なんとか昼過ぎぐらいに片付けと荷物積み込みを終了。

KDXの人に高知の温泉を案内してもらうため、軽トラ、パジェロ、プロシードで連なって出発します。しばらく195号を諏崎方面へ向かって走っていると、いきなり大粒の雨が振り出し、布施ヶ坂の道の駅に滑り込んだところで豪雨。屋根がある車のありがたみをしみじみ感じました。ここで昼飯食べ雨が少し弱まったようなので、温泉へ向けて再出発。

淡々と走って着いた温泉は「黒潮本陣」でした。けっこう混んでましたが、建物なんかは豪華な作りになっているし、中も海に向かった露天風呂があって眺めは抜群。高知の海を見ながら風呂に入れました(男女の場所が入れ代わると高知の町並みも見えるようです)。おまけに露天風呂の方は海水を利用してました(傷にしみる~)。

そのあと、お勧めのかき氷を食べに行き、帰り道への抜け道を案内してもらい、32号に入ってからKDXの人とわかれ、パジェロとプロシードで連なって無線で話しをしながら淡々と高松へ向かいました。

今回はバイクのトラブルにも泣きましたが、コース設定も去年よりずいぶんシビアでした。やはりSSERのレースは甘くありません。次回は200位より上を目指してがんばりたいもんです。

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