ビルシュタインマジック

とうとうビルシュタインにたどり着きました。

クロカン系ユーザーの私の感覚としてはビルシュタインってほとんど特注の世界で１台分で２０万円コースになるイメージでしたが、調べてみるとクロカン系の車でもメジャーな車種は１台分が10万円以下でラインナップされています（この時はじめてメジャーなパジェロのメリットを感じました(^^;）。新型パジェロ用は定価８万円で、セッティング的にはノーマルコイルにあわせ、ストリート用のチューニングになっている様です。私の場合ちょっと変わったルートで割と安く入手できました。

	黄色い本体に青いブーツカバー。スポーツカー系と同じビルシュタインカラーです（特注のショックは本体がブルーになるそうです）。さっそく交換しようとリアからはじめたのですが、取り付け時にショックを縮めようとすると異常に固い！全然縮みません。リア用は全体重をかけると少しずつ縮むのですが、フロント用はピストンがピクリとも動きません。いくらなんでもこの固さはおかしいと思って調べてみたのですが、構造と高圧ガスの関係から、このぐらいで正常ということでした。かなりビックリです。
	リア用を装着するとこんな感じ。下から覗くと黄色い筒が見えます。ノーマルと全然違うのは、取り付け部分のゴムブッシュ。ノーマルよりも分厚いブッシュをギューっとボルトで縮めて固定する感じです。ゴムブッシュのブヨブヨで衝撃をやわらげてごまかす感じではなく、できるだけショックに仕事をさせる理屈の様です。
	フロントショックの交換は、何回やっても大作業です。ショックユニットを外すためにはこんな感じで、上のアームを外すことになります。ここまでも大変ですが、コイルを縮めてショックを外す方がもっと大変だったりします...。
	フロントに装着するとこんな感じ。前から潜るように覗かないとほとんど見えません。

インプレッション

動きだして１つ目の曲り角を曲がるまでに目からウコロが１００枚ぐらい落ちました(^^;。とにかく全ての動きがナチュラル。補修されたアスファルトの継ぎ目はノーマルと同じか、より滑らかに通過するにもかかわらず。わざと大きい段差にタイヤを通しても、ノーマルショックの様なグラっと感も無ければ、ラリーアートサスの様な突き上げ感もなく、小さくフワッとした感じだけで、何も無かったかのように滑らかに通過します。強引なハンドル操作で曲り角を曲がっても、ゆっくりハンドル操作をしたかの様な動きで、揺り返しが無いのはもちろんのこと、ハードなサスで踏んばって曲がっている状態とはまったく違う感じです。

ほどよい減衰力が発生されているのは当然のことなんですが、その減衰力の効き方の特性が非常に絶妙で、衝撃感、ノーズダイブ感、ロール感を体に感じさせません。荒れたアスファルト路とかでペースをあげると、ノーマルだと宙に浮いたかのようにフワフワと大きく不安定に揺れ続けるのに対して、小さくユラッと感があるだけで、路面に吸い付く様に走ります。そのままハードブレーキングをしても、ノーマルショクでそっとブレーキを踏んでいるような挙動を示す程度で、スッと自然に減速できます（体が前にカクッてならないんです）。

表現するのが難しいですが、ラリーアートなどの様なスポーツショックの性能のよさを体感しながら走る感じではなく、状態のいい道路を普通に走っているというふうに錯覚してしまうような感覚です。とにかく自然すぎて、ビルシュタインだけを知らない道路でためしたら『こんなもんか』と思ってしまいそうです（ノーマルショックで同じ所を走ると、その差に愕然とするはずです）。

操縦性も信じられないほど向上しました。ただし、ラリーアートサスの様に積極的に車体をコントロールする方向ではありません。普通に走ろうとしたときに、自然に限界が高くなっているという方向です。普通にいつもの感じでハンドルを操作して、危なくない程度で走るとノーマルショックの時よりも格段に速い速度でコーナーを走っているという感じです。Ｓ字的な切り返しを強引に行っても、2t近いパジェロがまるで軽い軽自動車のように、スッスッと軽いロール感で軽快に向きがかわり、拍子抜けします。まさにビルシュタインマジックです。

まだ新品なので、低速の一部の速度域では、角のとれた丸い感じの突き上げ感が少し出る場面がありますが『ノーマルショックの突き上げ感とシビアに比べたら』という程度です。突き上げ感に敏感な私でも、まったく問題外の範囲です（慣らしが終わるともっと滑らかになると思うと楽しくなってきます(^^)）。

あと、驚きのオマケがありました。中に入っている高圧ガスの反発力の関係からか、静止状態の車高が上がりました。ＺＸはフロントが軽いのでフロントの方が多めに上がり、光軸がずれたことで気が付きました。ホイールハウスのクリアランスを確認すると1cm無いぐらいですが、確実に変化してます。ネット上でスポーツカー系の情報を見ても、やっぱり上がりぎみのようです（そっち方面の人達は、下げる為の対策に苦労しているようですが、クロカン車の場合は嬉しい限りです）。

しばらくして馴染んだ頃に、セカンドインプレッションとオフロードでの特性もチェックしたいと思います。