実際にスコッティを引き回してキャンプや長期間移動に使ってみました。 キャンプ場では快適すぎるぐらいです。天候が悪化しても撤収に手間がかからないので楽です。 今までのキャンプと大きく異なるのが、何も設営しなくても最小限の生活空間&ライフラインが確保されていることです。この安心感と便利さは想像以上でした。バケツをひっくり返した様な雷雨になっても、駐車場所が確保できれば、トレーラー内で食事を作り、テレビを見ながら普通に寛ぐことができます。こんな場面では、小さい子連れだとトイレに行くにも困るのですが、トレーラー内で食事からトイレまで完結するので、まったく困りません。 キャンプ場に到着後も同様で、設営の苦労はトレーラー位置と傾斜の調整ぐらいです。 テントベースに限らず、テント無しで車内泊する場合でも、調理道具などのキャンプ道具は全て外に出して使える様にセッティングすることが前提となります。当然、それらは準備だけでなく撤収時に片付けが必要になります。 スコッティの場合、それらすべての道具が固定装備として搭載されています。出入り口にキッチンがあるので、通常の調理はドアを開けたまま、ここでやれます。4つ口ガスコンロ、水道付きのシンクがあり下準備から調理まで全てこなせます。手の届く範囲に引き出しや戸棚の収納があり、調理器具や食器にも全てそのまま手が届きます。さらには食材をいれてある冷蔵庫も手が届きます。 結果的に調理の為の機材準備の手間は皆無です。到着後、いきなり料理が開始できます。 このメリットは片付け時も同様です。外で食べて食器は持ち出したとしても調理器具は使用後に同じ位置に収納されるので、それ以上片付ける必要はありません。食器をシンクで洗って戸棚に入れれば片付け終わり。家での作業負担と同じです。 まさに超小規模な自分の家(部屋じゃないところがミソ)を外に持ち出した、という感じです。 天竜川の河原に乗り入れ。 極悪路面でも入れるものの、車体の揺れが酷いのでカメの様な微速での移動となります。 走行性能にはある程度のガマンが必要です。 当然ながらパジェロの走行性能を生かしてスポーティに走る、なんてことは到底できません。 V6-3Lのパジェロの場合、マニュアル車に限ればパワーが足りなくて困ることは無いです。ただし、山道の上りでは最高出力付近を使うことはよくあります。一般道の山道では速度が低いので、2速で4,5千回転まで引っ張って走ることも多いです(3速では失速というパターン)。直線に限れば登りでも制限速度オーバーで走れます。 ※実際にはコーナーが辛いので、流れに乗って走る為には慣れが必要です。 高速道路ではトップスピードとしては100km/hオーバーで走れます(パジェロ側に大人2人、子供2人、荷室&ルーフボックスに荷物満載状態)。登坂車線がある登りでもギアを選べば100km/hをキープすることは難しくありません。ただし、牽引時の法定速度は80km/hです。速度を出すと乗り心地も悪化するので、遅い方の流れに乗って80~90km/hぐらいで巡航するのが妥当でしょう。当然ながら、ずっと5速ギアのままダラダラ走る、なんてことは不可能です。道路の傾斜によって3~5速ギアをこまめに使い分けないと失速します。 ※車検上は740kgですが、実際の総重量は900kgぐらいはありそうです。小型車を牽引して走ってる様なモノですね。 燃費は6km/L前後です。パジェロのエンジンはトルクが薄いので、重量負荷が大きくなることで低回転で走れなくなります。下道でも高速でも巡航時にエンジン回した状態が多いので燃費が悪化する様です。 乗り心地は、道路の荒れ具合が直接影響します。揺れ自体はパジェロ側の足回り性能なので大差ないのですが、問題は揺れ方です。パジェロが揺れたあとにトレーラーから揺らされる2度揺れが必ず発生します。道路が荒れていると、気分的にしんどい揺れ方になります(慣れの問題もありますけど)。 ※ヒッチ加重を調整することで揺れ具合が変わる様です。水を入れてヒッチ加重が増えていると道路のうねりの影響がマトモにパジェロに伝わる感じです。改善の余地アリです。 最もガマンの走りになるのが山道のコーナーです。緩やかなコーナーは制限速度+αで走れますが、制限速度がそこだけ下がっている様なタイトコーナーは、キッチリ減速してガマンの走りをするしかありません。そうやって走ってもコーナー途中にギャップがあると不安定な揺れ方をし、ステアリング操作にも影響が出ます。けっこう神経使います。さらにおまけとして、スコッティの幅が2mぐらいあるのでタイトなコーナーでは、パジェロとスコッティの両方のボディ位置を意識して走る必要があります。狭い車線ではスコッティがセンターラインを踏みそうになります。かといって、外側ギリギリを走ると垂れていてる木の枝にスコッティが接触します。 ※スコッティが木の枝などに干渉しても、パジェロ側ではほとんどわかりません。知らないうちにヘコミが増えて行きます…。 移動途中の駐車に関しては、わりと融通が効きます。普通乗用車枠で縦に2台つながってれば、そのまま止められます。ただし駐車枠に対して真っすぐ入れる場合に限られます。旋回しながら2台の枠に入れる為には、その駐車枠の左右の枠に車が止まってないことが前提となります。 駐車場が傾斜の無い平地の場合は、スコッティを切り離せば、手で押して駐車枠に止めることができます。普通車枠が2つ空いていれば、パジェロとスコッティを止められます。切り離しに2、3分かかりますが、2台のつながった枠がなくても駐車は可能です。 スコッティの全長(415cm)はパジェロの全長よりも短かく、幅(199cm)はパジェロのサイドミラー幅より狭いです。 高速道路の途中でサービスエリアで一泊する場合、パジェロだと高速走行後なので、車体が凄い熱量を蓄えてます。夏場は蒸し風呂となり眠れません。窓を開けても風が相当ないと中の空気は入れ替わらないです。結局はエンジンかけっぱなしでエアコン入れて仮眠することになります。 これがトレーラーだと、走行で熱を持つ部分がありません。それどころかボディに風が当ることで冷却効果があります。熱帯夜でも扇風機があれば十分寝れます。スコッティの場合、小さいながらも窓が天井を含め全ての面にあります。トラックなどの騒音がうるさい方向の窓だけ閉じて、他の部分で換気すれば、よほど近くにトラックが停車してない限り、気にせず眠れます。 普通車エリアの2台分で楽に止められることも大きなメリットです。トラックエリアから離れて停車できることでそもそもエンジンの騒音から離れることができます。 高速のサービスエリア。仮眠ではなく家でいるのと同じ様にしっかり眠れます。 家に帰ってからの片付け&メンテナンスは、これも想像とずいぶん違いました。 まず、トレーラー必須のダンプ作業が必要です。グレータンクとブラックタンクを浄化槽に流し込みます。浄化槽に流した後に、排水用のセワホースやタンク内の洗浄の為に、何度か給水と排水をします。かなり面倒なイメージでしたが、力仕事でもなく慣れればたいしたことありません。 ただし、使用時には若干の心遣いが必要です。食器などの洗い物をするときは、油分や汁などの汚れを軽くトイレットペーパーなどで拭き取った後に、洗剤を多めに使って洗います。こうすることでグレータンク内に溜まる生活排水の悪臭を防げます。トイレのブラックタンクには予め分解と消臭効果のあるアクアケムという定番の消臭剤を入れておきます。この溶剤の効果と走行時の振動で分解されダンプ時の悪臭が抑えられます。 あとはキャンプ後の定番片付けとしては、キャンプ道具や食器などを洗ったりメンテしたり、クーラーボックスから残った食材を冷蔵庫に移したり…、etc。というのがありますが、トレーラーだと全く違います。家に戻ってダンプ後は、給水し、生活排水は常時流せる状態に排水パイプを接続し、電気は外部100V電源に接続します。 小物のメンテや食器などの洗い物は、スコッティ内のキッチンで行います。わざわざ家に持ち込みません。さらに残ったビールや飲み物なども、そのままスコッティ内の冷蔵庫で冷やし続けます。 そして、スコッティはそのまま離れの小部屋となります。 なんとも不思議な感覚です。 |