DC-DCコンバーターが壊れたので交換

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2023.01.14


グリップヒーターをつけた時に入れ替えた60WのDC-DCコンバーターが壊れた。前兆もなく突然壊れるというサイテーなパターン。壊れ方もえげつなくて入力側が内部で短絡状態になってる(テスターで測ると0Ω。つまり内部でショート)。出力が出ないだけでなく入力側がショートする壊れ方ってなぁ、、、

60WのDC-DCはスペアを買ってなかったので即注文。ついでにダメ元で販売元も連絡を入れとく。購入から1ヶ月以上経過してるけど製品保証的なモノがないかなーと。すると短時間で返事戻ってきて「個体差の不良品の可能性あり、交換品を送るので壊れた方は処分して」と返事戻ってきた。サポートは良い。



DC-DCの入力電源はPS1の元電源から分岐してる。単純な並列接続なのでDC-DCの入力側でショートするとPS1のバッテリー側から見て出力がショートした状態になる。本来ならDC-DC側に入れてたヒューズが切れるのだが、それより先にPS1バッテリーの保護回路が反応して出力を止めるようだ。なので結果的にPS1の電源は入らなくなる(電源ONと同時に出力カットされる)。

こんなトラブルは滅多にないと思うけど、もし同様の状態になったらDC-DCを切り離さないと復帰できない。分解してDC-DCの配線からヒューズを抜く作業が必要になる。入力側の配線にスイッチを挟んでおけばON,OFFで切り離せるのだが配線を長く引回すのもイマイチ。まー何かあったらバラす必要があると覚悟だけしておく。


壊れたDC-DCは廃棄の前に分解して中身を調査する。分解といってもモールドで埋められてるので発掘作業みたいな感じ。コツコツとモールドを崩して中身を見える状態にする。基盤の片側に電解コンデンサとコイル。コンデンサは生きてるようで特に問題ない。


もう片側には高効率同期昇降圧コントローラとMOSFETが4つ。あとはチップタイプの抵抗とかコンデンサ。どれも外観では壊れてそうには見えない。基盤上に焦げ跡とかの異常もなし。おそらくMOSFETがのどれかが潰れてそうな気がするが見た目にはわからん。だいたいの構造はわかったので調査はこの程度にしとく。

しかし、こんなシンプルな構成で昇降圧のDC-DCコンバーターができてしまうんだな。おまけに2千円ちょっとという販売価格。すげーな。


新品のDC-DCに交換するついでに入力電源に逆起電力系のノイズの対策を入れることにする。DC-DCへの入力はPS1のバッテリー出力を分岐してる。単純な分岐配線なのでPS1側のコントローラー回路の電源入力と並列接続になる。

この状態はあまりよろしくない。もしPS1の制御回路がOFFになる時に電源端子に電気的なノイズを出したりするとDC-DCの入力端子に直接影響が出てしまう。順方向のノイズはどーということはないが逆起電力系のノイズはマズイ。

そんなわけで電源の分岐にダイオードを入れることにした。これで逆起電力は消せる。シリコンダイオードの電圧降下を嫌ってショットキーバリアダイオードを採用した。特性的に逆電圧時の漏れ電流に注意する必要があるようだがノイズ以外は順方向にしか電圧かからん用途なので問題なし。20Aのを使ったが容量的にはやりすぎだったか。




テスト的に負荷をつないで試す。0.7A流れてる時に実測で0.31Vの電圧降下。シリコンダイオードの半分ぐらいか。ダイオードで消費するロス電力は半分で済む。そして発熱も半分。なかなか良い。


ヒューズボックスと一体化させる。



ヒューズは3Aを入れてる。DC-DCの仕様は出力側で12V-5A(60W)が最大。最高出力時の変換効率が85%程度だと想定すると入力側は1.2倍ぐらいの電力になる。60×1.2=72W。入力電源は36Vなので(実際にはもう1〜2V高いが...)、72/36=2A。つまり入力端子には最大で2A流れる可能性がある。2Aまでは正常動作の範囲なのでヒューズは2A+αの容量が必要、ってことで3A。

突入電流とか不明なのである意味適当。3Aで切れることがあるようなら5Aとかが必要かもしれん。以前は10Aとか入れてた。まー10Aはちょっとやりすぎ。短絡したら切れるけど切れるタイミングが遅くなるので配線や回路に無駄な負担をかけてしまう。適正容量が大事。

そもそもバッテリー側の保護回路の方がヒューズより高速反応なのでヒューズ切れる前にバッテリー側が出力カットする可能性が高いけど、、、


新しいDC-DCと組み合わせて全体構成を整える。壊れた時にDC-DCを交換しやすいようにコネクター位置とか考慮しとく。


実際のところ一体化するためにテープで固定するので出先でDC-DCを交換は敷居が高い。もう壊れないことを願う。


PS1に仮接続して動作テスト。


ライトON。問題なく動く。


グリップヒーターフルパワー。熱すぎて常時は使えないけど極寒でグリップがキンキンに冷えてる時にサッとグリップを暖かくするのに使える。温度上がったらパワーを下げる使い方。


iPhone充電も問題なし。大丈夫そうなのでコントローラーと一体化したDC-DCをフレーム内に格納する。


あとはごちゃごちゃ配線の片付け。


完成!ちょっと買い物などに走ったが問題なし。完全復活。そのうちTRS2AMの方もダイオード入れんといかんなぁ。年単位で安定運用できてるから慌てるほどでもないけど。



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