グリップヒーターを試してみる

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2021.12.21


今年の冬は例年より寒いらしい。極寒の季節を快適にポタリングするには寒さ対策が大事。特にマジックアワーとか狙ってウロつくとめっちゃ寒い。体は高機能ウェアを組み合わせれば快適なのだが指先と足先はどーしても冷える。ミニカイロの併用でカバーしてきたけど、手を温めれるのは手の甲なのでどーしても指先の冷えが辛い。

流行りの電熱手袋も考えたが手袋系は相性が悪い。モソモソする感触が嫌いな上に主目的が写真撮影なのでカメラを繊細に扱えないスキー手袋もどきなど使う気がしない。いくら暖かくても個人的には使い物にならない。色々と考えてグリップヒーターを試してみることにした。

グリップ内臓のオートバイ専用のは昔からあるが、今時はグリップの上から巻きつけるシンプルなモノが2500円ぐらいで売ってる。電源をどーにかすれば自転車グリップにも流用できそうなのでチャレンジしてみる。

※最後に書いてるけどUSBタイプのヒーターもある。出力が低そうなので避けたけど12Vタイプは熱すぎる感じなのでUSBタイプでも十分かもしれない。


ヒーター部分は薄いシートに発熱の線が仕込まれてる。手で握る表側は少し厚みがあってクッション感のあるスポンジ状のパッド。両端がマジックテープになっててグリップに巻きつけて固定する前提になってる。握る側の素材感は悪くない。


第一関門はこれ。電源は12V。STEPSのライト出力は6Vなので使えない。そもそもSTEPSは今時なんで6Vなのか、、、どー考えても12Vだろ。ボッシュのアクセサリー系はちゃんと12Vになってる。6Vに決めたシマノ担当をつかまえて1時間ぐらい問い詰めたい。6V-2Aだから12Wと出力もショボショボ。12V-2Aを採用してれば24Wまで使えるのに。

シマノの古臭い設計思想には付き合ってられない。今後狙ってるハイロー切り替えの付いたライトも12V系なので、自前で元電源の36VからDC-DC変換して12Vを用意するのはやる予定。5Aぐらい取れるようにしとけば常識的なアクセサリーは動く。

元電源からの供給は部材を手配して別に進めるとして、とりあえずモバイルバッテリーでも使える様にしておきたい。元電源だけを頼ると停車時にずっとONにし続けられない不自由がある。バッテリー出力はSTEPSの管理下なので停車してしばらくするとSTEPSがAUTOパワーオフになって元電源から切れてしまう。

止まってる時にはいらんだろと言われそうだが、こっちは寒いとこで長い時間かけて写真狙ったりする。そんな時に手は凍える。時々グリップ握って手を温めたい。停車中にヒーターつけっぱなしにできる仕組みはわりと大事。


モバイルバッテリーで12Vをどうやって用意するのか?以前ならUSB-Aの5VからDC-DCで昇圧して、、と考えたのだが、ここ最近は事情がだいぶ変わった。USB-Cが急速に進歩した。進歩が急速すぎて仕様ぐちゃぐちゃで互換的な部分は大変なことになってるが、細かいことには目をつぶる。

PD(Power Delivery)に対応してるデバイスは、5V、9V、15V、20Vの電圧の出力が出せる。ただし、実際にこの中の何Vに対応してるかはデバイスによって変わるし電流上限もデバイスで変わる(ややこしい)。

で、まぁ、それを利用してUSB-Cの端子から12Vを引っ張り出すのがこのケーブル。ケーブルに見えて端子部分には通信プロトコルを処理するチップが入ってる。USB-Cは挿せば12V取り出せるほど甘くない。デバイス側と通信して認証されてから初めて12Vが渡される。その処理を端子部分がやって結果的に12Vを出力する面白いケーブル。最大値は5Aになってるので60Wまで対応してることになる。まー上限スペックはあまり信用できんけど。


PD対応のモバイルバッテリーに接続してみる。お気に入りのAUKEYの10000mAh(37Wh)のやつ。最大出力は18Wなので12Vで1.5Aまで出せる。12V-1.8Aで使うと元ネタの70%ぐらいの効率がせいぜいだろうから1時間少々で空になると思うけど。

グリップヒーターは10、15、20Wの3段階なので10Wなら2時間ちょっとは動かせるはず。さすがに小型モバイルバッテリーで何時間も動かすのは難しい。なので車体からの供給とモバイルバッテリーでの駆動を使用目的で切り替えるのがベター。ライトとかiPhone給電も同様だけど。

※あとで書いてるけどグリップヒーターはPWM制御だった。なので10Wモードでも瞬間的に20W出力が必要なので18Wでは足りない、、、


出力をチェック。ちゃんと12Vが出てる。この12V出力はモバイルバッテリー内でDC-DC変換して出てるのでバッテリーが空になるまで電圧変動がほとんど無いのもミソ。


とりあえず電源の端子にワニ口クリップで接続して動作を確認。18W出力なのでちょっと足りてないけど20Wモードでも動くようだ。グリーンが10W、ブルーが15W、レッドが20Wのモード。20Wモードはすごく熱くなる。たぶん危なくて使えないモード。10Wモードでも十分な温度になってる。もっと低いモードも欲しいな。


実車に装着。ヒーターシートはグリップの上から巻きつけてマジックテープ止め。当然ながらグリップは太くなる。気に入らんのであとで対策を考える。とりあえずはこの状態で実走でのヒーター効果を確認する。


わさわさと長い配線は最適化してぶった切る。


USB-Cからの取り出しケーブルも短くチョッキン。これ同軸ケーブルなのか。


絶縁処理して端子加工。ちょうどいい長さで接続した。


制御ボタンからヒーターへ向かう配線が長すぎてウザイ。チョッキンして最短加工したいが実走の確認が先なので今はグシャっとまとめてステムの裏側へ固定しとく。


制御ボタンは強力両面テープでペタリ。動作確認をすると問題発生。机上では動いてたモバイルバッテリーが数十秒でリセットかかってしまう。さっきまで動いてたのになぁ。

どーやら机上ではワニ口クリップで長い配線つないでたから配線抵抗が増えて電圧降下し、結果的に電流値が減って18Wの出力に収まっていたようだ。きちんと配線したことで抵抗が減ってヒーターにキッチリと12Vが加わり本来の20W出力を要求される状態になったことでモバイルバッテリーが根を上げてしまった。

でも、それなら10、15Wモードは動くはず。いろいろチェックしてみると、どーやら10、15Wモードは電流値を下げる制御をしてるのではなくPWM制御で消費Wを下げる仕組みのようだ。なので一時的な20W状態と0W状態が繰り返して発生してる。結局20Wを要求するもんだからリセットかかってる感じ。

うーん、どーしたもんか。ダメ元でRAVPowerのモバイルバッテリーを試したら(これもスペックは18Wで同じ)、こっちは1回リセットかかるものの2回目からは強引に動くことが判明。とりあえずRAVPowerので試すことにする。根本的な解決には電圧をもう少し下げて18Wに収めるしかないな。適当なDC-DC変換を挟めばいけるか。


気温の下がった夜に実走テスト。いつもの毛糸手袋+夏用指切りグローブ。手はまったく凍えない。というか低温モードでも手のひら側は熱すぎる。最初はぬるい程度だけど握ってるとだんだん熱くなってくる。指先はちょうどいい。とりあえずのテストでグリップ上から巻いてるから太くて握りにくい。これは到底耐えられない。対策必須。

しかしグリップヒーターすごいな。これはアリだ。ほぼグリーンの低温モードにしてたが1時間半ぐらいでモバイルバッテリーは半分以下になってた。10000mAhのやつで2時間ぐらいの感じか。低温モードでも過剰気味なのでもっと低温&低電力モードが欲しいところ。


問題点を把握したので本気の加工を開始する。ヒーターシートを上から被せたのではグリップが太くなりすぎて話にならない。ちょうどグリップのゴムが減って交換時期だったのでこれをベースに加工してヒーター専用グリップを作る。


グリップのゴム部分を削り落とした。さすがマトモなグリップだけあってゴムはキッチリとベースのプラに接着されてる。削り落とす作業はとんでもなく大変だった。二度とやりたくない。まだもう片方があるのだが、、、


グリップのゴムを削って細くしたことでヒーターシートを巻くと端が大きく余る。都合悪いので発熱線が仕込まれてない部分をギリギリまでカット。


ゴム系の両面テープでヒーターをグリップに貼り付ける。ゴム有りの太さとほぼ同じになった。表面が柔らかいので握ると微妙に細いぐらい。まーそれは追加の細工を考えて想定内。この後にも追加の細工を考えてる。

ヒーターシートの幅がちょっと狭かった。グリップのゴムを全部削ったのは失敗だな。端を少し残しておくべきだった。


もう片方も加工した。大変すぎて死ぬかと思った。こっちはゴムの端を残したのでヒーターシートが綺麗に収まった。


TRS2AMに装着。バッチリ細くて握りやすい。ただ、上から手を置くので離れがちな指先とグリップに荷重かかった上で密着してる手のひらでは結構な温度差がある。密着する手のひら側の方がどーしても熱めになる。この温度差を均等にしたい。


古チューブをチョキチョキしてシートを作成。


手のひらが上からのる部分を中心にグリップの上半分にチューブシートをゴム系両面テープでペタリ。この状態でもヒーターの熱は伝わるけどヒーター線と距離ができるので温度は少し和らぐ。


カバーしたのは上半分なので下側はそのまま。上と下で温度差を作った。均等温度だと上から握るので手のひらだけが熱くなりがち。上側の温度を少し下げてやることで手のひらと指先の温度感が同じぐらいになる。

半分カバーなので握った感の太さ具合も程よい。ヒーターシートだけだと元よりちょっと細い感だったのが適正に補正された。


いつものグローブで軽くテスト。まだちょっと暖かすぎる感はあるな。意識してグリップから手を離す時間を作れば低温やけどのリスクは低いと思うがもっと温度を下げたいな。そもそも低温モードでこれだと選択肢がない。全体的に下にズラして高温、中温、低温を切り替えて有効に使いたい。


12Vから電圧下げても制御ボタンは動くようなので、近いうちに12V出力にDC-DC変換を入れて少し電圧下げてみるか。ヒーター線の抵抗は同じなので電圧が下げれば電流下がって消費Wが減り温度が下がるはず。まーでも、これで指先の凍えとは無縁になった。快適な冬ポタができそうだ。

夜ポタでチェック。やっぱグリップヒーターの効果は絶大。上下の温度差はだいだい目論見通り。グリップ細くなって握りやすさも問題なし。この方向で出力を調整だな。

※マネする人はくれぐれも低音やけどに注意してください。


同じモノと思われるヒーターが複数出てる。売ってるとこの都合なのか出たり消えたりしてる感じ。どれ買っても同じと思うが、安物なので当たり外れはあるかも。

USBタイプもあるみたい。使ってないのでわからんけど5V-2Aなら10Wなので12Vタイプの低温モードぐらいの能力かな?意外と丁度いい可能性もある。これだとモバイルバッテリーで直接駆動できる。


USB-Cから12Vを引き出すケーブルはこれ。引き出す電圧で分かれてるので12Vのケーブルを選ぶのを間違えないように。12Vタイプのグリップヒーターはモバイルバッテリー側の出力として20W以上必要(24Wぐらいを想定してた方が確実)。RAVPowerのは18Wでもギリギリ動いたけどAUKEYの18Wのはリセットの繰り返しでダメだった。

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