DELTA MAXが床下に入るベッド作成

トップ > 車の改造 > Pajero V73W > DELTA MAXが床下に入るベッド作成
2024.07.17


今まで何回か遠征用のベッドは作ってきた(V75W時代仮設シングルベッドルーフボックに収納できるベッド)。とりあえず1泊だけで寝れればいという程度はどーにでもなるのだが、数日停泊して冷蔵庫を動かしっぱなしにしたい、とかなると厳しい。電源自体はDELTA MAXとエクストラバッテリーがあれば4kWh確保できるのだが、これまで作ってきたベッドではDELTA MAXの置き場がない。

そんなモヤモヤを引きずっていたものの実際に使う機会もないので放置だったが、パジェロでフジロック遠征することになって良い機会なので条件に合うベッドを作ってみることにした。当然ながらこれまで作ったベッドの不満点も解消すべくいろいろ試す。


素材はこの状態。今回はセカンドシートは大きい方を外しているが、ベッド構成的にはシートありでも成立するようにする。逆にセカンドシートを両方とも外してもフレームパーツ補完で成立可能な構成とする。

そしてセカンドシートは走行時に使える前提。組み合わせパターンは色々あるが今回は小さい方のセカンドシートが使える形で構成的に拡張を考えて作ってみる。たぶん作った段階で色々と矛盾が見えて残課題になるとは思うが、、、まー作らないと課題すら見えないので悩んでも仕方ないチャレンジあるのみ。

遠征条件の、3人乗車+荷物、その状態で1人仮眠可、停泊時はフルベッドで1人+荷物、DELTA MAX+エクストラで冷蔵庫を4日間稼働、をクリアした上で拡張性を考えつつ実験制作。


フレームはブロック構造でやってみることにした。セカンドシートの7:3のサイズで縦を分けて、前後は荷室部分とセカンドシート部分で分ける。こうすることでどのブロック部分を使うかでアレンジができる。セカンドシート部分はシートありなしでフレームを変えることで自由が効く。ベッドボードをしっかり支えることを考えて1ブロックを小さめにしてみたが、後から考えると割と失敗。

フレームの材料は大好きな赤松胴縁の荒材。自動カンナでほどよく削り込んで使う。こういうレベルで木工するとカンナ済みの材料なんか使ってたらコストかかりすぎてやってられない。さらには売ってるのそのままでは木材サイズを調整できないので限界がある。軽量化するために過剰強度なサイズを削り込んで薄い素材として使う、って手が使えない。コストだけの問題でもない。

まー、普通は自動カンナよりも爆音&ホコリまみれの機材を使える環境があるかの方がネックになるが、、、こんなことが気軽にできるのは田舎の特権かもしれんが、、、


フロント側のフレーム。この下にDELTA MAXとエクストラバッテリーを収納する。フロアが変形形状で平らじゃないのでフレーム作成に四苦八苦。いろいろ考えた挙句にこの形状で妥協。


フレームの作りやすさと統一感を出す為に上側はフロアが平らな前提の形状にした。外へ持ち出せばそのまま台になる。フロア形状の違う部分は別にアダプターとなるフレームと作って合体することで車内で水平を出す構造。フレームは収納を考えてできるだけ別体に。DELTA MAXを置くトレイも独立したパーツとして作成。


木材の接合は木工用ボンドと細軸コーススレッド。強度を出すにはボンドで接合面全体をくっつける必要がある。でもボンドだけだと初期接着が弱くて次の作業がすぐにできないのでネジも併用すると作業効率が良い。

木材はだいだい歪んでるので直角部分はジグを使ってネジ打ち込むのが吉。めんどくさいので手を抜きがちだけど接合箇所が多いとジリジリと誤差が積み上がるので仕上がりに差がでる。


うちの自動カンナ。もう20年以上使ってるけど快調。カンナ刃が研げるタイプなので研いでくれるとこが近くにあれば割安に運用可。とはいってもここ10年ぐらいは研いだことないけど。昔はリョービの工具だったけど今は京セラが扱ってるようだ。

連続使用すると爆音で耳をやられるので耳栓かノイズキャンセリングイヤホン必須。もしくは100V工具の出力を落とす変換アダプターでカンナの回転数を落として使用(騒音はマシになるけど材料によっては削り面の仕上がりに影響あり)。

京セラ(Kyocera) 旧リョービ 自動カンナ AP-10N 670257A



さて、厄介なのがサードシート空間。フタを閉じていれば床になるので問題ないのだが、この空間を利用しないのも勿体無い。今回はここに冷蔵庫を入れるので利用必須。


というわけで専用フレームを作った。


ハメ込むとこのフレームが床面と同じ高さになる。木のフレームを少し歪ませて脱着する構造にしたので装着すると人の手が加わらないと外れることはない。当然ながらピッタリフレームにするために自動鉋で木材太さの微調整しまくり。


上にベッドフレームを置くと足の部分をしっかり支える構造。これでベッドフレームはそのままで床ありなしの両対応になった。


各フレームブロック同士の接合は小さいアダプターで繋ぐ。


アダプター側にはネジ穴を作成。


横方向の接続。アダプターにむけて手で回せるネジで固定。


縦方向の接続。縦と横でつながると全体ガッチリ。


セカンドシートがある部分は専用フレーム作成。上からの重さはシート本体で支えてフレームは周囲を支えてベッドボードのグラグラを無くす役目。今回は左側だけ作ったけど、本来は右側も同じようなのを用意してシート装着時は同じ理屈でボードを支える。

さらに言えば左側シートを外してる時には、今回作った右側と同様なフレームもいるのだが、拡張可能な構造ってことでとりあえず後回し。


ベッドボードを作る。今回は内装めいっぱいのサイズでベッド面にしたいので型紙作成から。段ボールをチョキチョキして形を出す。


4分割でこんなもんか。この4分割も後から考えるとビミョーに失敗。左側はともかく右側のボードは1枚のサイズが大きすぎて融通効かない。もっと小さいボードで分割するのがベターと思われる。まー、そうなるとフレームもややこしいのだが、、、


セカンドシートのこの部分が飛び出ててジャマなのだがシートの背中でベッドボードを支えるのでくり抜いて逃すしかない。板の上に少し出る計算になるが今回はベッドボードにウレタン貼り付けるのでクッションに隠れて影響は出ないはず。


ベッドボードのベースとなる板は9mmの合板を採用。しなり強度は弱いけどフレームで支える前提にしているので問題ない。コンパネとか12mm系に比べてだいぶ軽いので重量面でメリットがある。ほんとはいつものスタイロフォームサンドイッチ構造で作りたかったけど時間無いのと厚みが出るので断念。


今回の最大のこだわりはベッドボード自体で寝れるクッション性を確保すること。これが結構奥が深い。ウレタンを分厚くすればいいというモノでもない。できるだけ薄く構成しながらも寝て不満がないクッション性を作る。

その答えは2種類のウレタンを組み合わせること。薄めの硬いウレタンをベースにして底付き感を無くし、厚めの圧縮ウレタンでフカフカ感を確保する。


ウレタンの接着にはスプレーのりを使ってみた。施工性はとても良い。木とウレタンはまぁまぁくっつくがウレタン同士はイマイチ。ま、でも横ズレしなければいいので効果は十分。


黙々と枚数分作る。


ウレタンの上からは合皮を貼る。大昔にトレーラーの床を作った時にロールで買ってた合皮があるので残量調べてみたら、今回作ってるボードの必要量とピッタリすぎるぐらい一致。1cmも余らん。こーなるとこれで仕上げるしかない。


予備はないので慎重に貼り込み作業。


合皮の固定はタッカー。マキタのRT線のやつで細かくパチパチ止める。RT線はJ線よりちょっと細めでこういう作業には使いやすいのだが肝心の針が入手しにくいのが欠点。買い置きが底をつきそうでヒヤヒヤした。常に多めに在庫しとかんといかんな。


合皮を貼るといい見栄えになった。クッション性も狙い通り。


最後の仕上げでフレームを全部ペーパーがけ。表面はカンナかかってるけど角は面取り跡が残ってたりするので全体通してのペーパーがけは必須。これで全てが滑らかになる。


ボードは横の部分が走行中に振動で擦れてキュッキュッ音が出るのを防ぐために消音テープを追加で貼った。


ほぼ完成。まずはフレームを設置。今回は3ブロックがメイン。1箇所はセカンドシートをベースに支える。


ベッドボードを置くと3人乗車+1人が寝れるベッド空間。


サードシート空間には冷倉庫や荷物が入る予定。フレーム形状の関係で荷物が入れにくくなったのが失敗。やっぱり1回作ってみないと細かいとこはわからんな。次はこれ見ながら考えられるので進歩できるのでヨシ。


セカンドシートの乗車空間。ベッドボードの下にはDELTA MAXが入るので空間の大半は潰れる予定。


フルベッドへのアレンジ。まずはセカンドシートの背もたれを倒す。


追加フレームを取り付け。向こう側から手動ネジで固定する構造。


前方を支える追加フレームを取り付け。これも手動ネジ固定。


そして左端の追加フレームを取り付け。これも同じく手動ネジ。これら追加フレームはルーフボックスに入るようになってる。


そしてボードを載せる。背もたれを倒すレバーのとこは穴あけて逃げるようになってる。


フルベッドモード完成。内装ギリギリまで使ってるのでこれまで作ったベッドの中で横幅は最大。右側のホイールハウスモドキがジャマだったけど作ってみればウレタンで分厚くなったベッドボードとほぼ同じ高さ。丁度よくなった。

走行すると段差を越える振動でベッドボードが微妙に浮いてカタカタ音がすることが判明。マジックテープをフレームとベッドボード裏に貼って微細な振動で浮かないように対策。


ボード下には狭めながらも荷物空間を確保できたので、荷物と車中泊をまぁまぁ快適に両立可能。自転車イベントの前泊とかに活用する場合は片側のブロックのみ設置すれば空いた方に自転車が積める。

ただし今まで作ってきたベッドと決定的な違いがある。それはボード面の高さ。セカンドシートの背もたれを前に畳んだ高さを基準にしているのでベッド面が高い。ゆえに天井までの空間があまり確保できてない。上に座ると頭があたるので首は曲げた状態になる。寝るには問題ないがベッド面に座ってくつろぐのは向かない。寝転がってくつろぐ前提になる。

その辺も実際作ってみて中でゴロゴロしてみると不便さを実感。今回の遠征条件ではこれがベターだし、これはこれでアリだと思って作ったが、やっぱり天井高さは欲しいなぁ、と思うところ。まー、両立は物理的に無理なのだが。


そしてオマケのスペシャルアレンジ。パジェロにはフルフラット機能がある。これを生かしてセカンドシートの追加フレームを設置する時に助手席をフラットモードにすると背もたれをフレーム下に格納できる。

こうやると荷物を置いたりベッド面からここに降りて外へ出たりと自由が効く。のちに運転席以外をカバーするボードを作ればさらに広大なベッド面を作ることも可能(何に使うんだ?というオチはあるが)。


フジロック遠征で実証実験。イメージしてたより荷物に圧迫されたけど概ね想定通り。数日の連泊って条件ではそもそも荷物が多い。現地で買ったモノも地味に増えるので、どーしてもベッド上にも荷物が積み上がる。よほどパズルちっくに荷物を最適化しない限り車中泊定員は1名だと思った方がいい(今回は宿とキャンプに分散する前提だったので1名車中泊で問題なし)。

冷蔵庫連続稼働は4kWhの電源をもってしても4日間ではギリギリ足りないぐらいの計算。なので停車時にルーフ上に100Wの折りたたみソーラーパネルを固定して給電した。昼間に20〜50W程度の発電量だったけど継続的に充電されるのでかなり有効。冷蔵庫を動かしきって最終的に残量80%だった(夜に減って昼間に増えて、って状態だったようだ)。

容量的にはRIVER Pro+エクストラでいけたのでは、、、って感じ。ま、ティファールでお湯沸かしたり一時的に1000W以上を使う用途があるのでDELTA MAXじゃないと出力的にダメだったし、連日雨とかだとアウトなので4kWhの容量は保険でもある。

色々考えて実験がてら作って実践もやったのでノウハウはいっぱい増えた。ついでに課題もいっぱい見えた。とりあえず使いながらどう発展させるかはゆっくり考えることにする。

トップ > 車の改造 > Pajero V73W > DELTA MAXが床下に入るベッド作成
DELTA MAXが床下に入るベッド作成 COPYRIGHT 1996-2024 E-NAYA
Powered by WPMS