PSA1の電気的な部分の考察

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PSA1の電源はLGエレクトロニクス製の高密度セルを使ったリチウムイオンバッテリーです。

重量:約2.2kg(実測値)
電圧:36V
容量:378Wh(36V-10.5Ah)

重量&サイズと容量の関係は2017年時点では最高レベルです。

ヤマハのYPJ系のバッテリーは540gで60.48Wh(25.2V-2.4Ah)。PSA1と同じ容量分に換算すると3.4kg。パナソニック最新の「業界最大級の20Ahバッテリー」が、3.9kgで504Wh(25.2V-20Ah)。PSA1と同じ容量分に換算すると2.9kg。

軽くPSA1の勝ち。惜しみなく最新高密度セルを採用する判断が素晴らしい。このバッテリーじゃなかったらPSA1の価値は半減したでしょう。


アシストするモーターは36V-250Wのリアハブモーター。かなり小型でディスクローターとスプロケに挟まれてるのでパッと見では気づかないぐらいの大きさです。

車軸は特殊になるものの10速対応フリーを採用してるのがナイスです。複数の信号線が繋がっているので、このモーターユニット内に速度計測センサーや温度センサーなどが入ってそうです。

モーターの最大出力は250W。378Wh/250W=1.512h。最大出力の状態を続けても1時間半はバッテリー持ちます(そんな走り方はできないけど(^^;)

このリアハブモーターという構成は、直接リアホイールを回すのでチェーン負荷がかからないメリットがあります。特にフルサスの場合、チェーントルクでサスが沈むこともありません。リアのバネ下が異様に重くなるデメリットがあるもののPSA1のキャラクターとしてはベストな構成です。

電動アシスト自転車としては最大出力250Wで必要十分です。時速10km/h以下で人間負荷が125W時にアシスト比率1:2で最大出力。人間側と合計で375W出力で進むことができます。

実際にはその条件だともっと速度が出てしまいます。速度が出るとアシスト率が下がるのでモーターの最大出力を引き出せません。極端な坂を低速で登る場合には最大出力になりますが、375Wで登れない傾斜はフロント浮いて危ないのでやめた方がいいでしょう。


ペダル負荷計測はBB内にトルクセンサーが入っている様です。高ケイデンスでも適切なアシストがかかるので、瞬間的なペダルトルクではなくコンマ何秒かの一定時間分の軸負荷を積算して判定してそうな感じです。

なので、国産アシスト系でよく聞く「重いギアで無理に踏んだ方が強くアシストかかる」というアホみたいなコトにはなりません。適切なギアで高ケイデンスで回した方が強くアシストされます。この辺の制御もよくできてます。

もしかして、アシストかかり始めまでに少しタイムラグがあるのは処理速度の問題ではなくて一定時間のサンプリングの為かも?


リアハブからの速度情報、ペダル軸からのトルク情報、バッテリーからの残量情報などを総合判断してバッテリーに対してモーターへの出力指示を出してるのはこの表示ユニットかな?

見やすいけど大きすぎる感があるので、もっと小さくてよかったかも。一番いい場所に陣取ってるのでiPhone装着する場所に悩むところ。表示情報としては標準的。車の瞬間燃費系みたいに今の出力W数とか表示して欲しいところ。

バッテリー低残量の警告音消せないのも改善望みたいです。ビープ音OFFの設定でも警告だけはしっかり鳴ります。下り基調の帰り道でずっと鳴り続けるのは困りもの。一旦強制的に鳴って、ボタン押すとOFFにできるってのがいいかと。

警告鳴り出すと強制的にアシスト1になります。その状態からでもまぁまぁ距離走れます。警告出たら下り基調で帰る、というのがいつものパターンです。

PSA1の電気周り、アシスト制御周りはよくできてます。自転車としての体感では細かい不満はあるものの、現状の最先端技術とコストをうまくバランスさせてる感が強いです。今後の電気系の技術進歩(バッテリーやモーター制御技術)で急速に理想形に改善されそうな感じがします。

たぶんヨーロッパでE-Bikeがブレイクしてるので競争が激化して技術進歩が後押しされると思います。今後数年の進歩が楽しみです。

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