グリップヒーターを改良

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2022.01.07


USB-Cから12Vを取ることでグリップヒーターを駆動できるものの色々と無理がある。12Vでは2.3Aぐらい流れてしまう。出力は28W近いので18W出力の小型モバイルバッテリーでは駆動できない。低温モードなら半分の14Wになると思いきや、PWM制御なのでトータルの消費電力としては14W相当になるけど瞬間ピークは28W。その瞬間ピークにモバイルバッテリーが耐えれずにリセットがかかってしまう。

65W出力の大型モバイルバッテリーなら駆動できるものの、そもそも12V駆動では低温にしても熱すぎて適温にできない。降圧DC-DCを入れて電圧を下げて適正出力を探ってみる。単純に電圧を下げると11Vの時の低温モードでほぼ適温。


9Vだと中温モードが適温。低温モードほんのり暖かいだけで物足りないが、高温モードはかなりホカホカになる。

実走で11Vと9Vで長時間試してみた。結論的には9Vがベター。ポタリング時の適温としては11Vだと低温モードで、9Vだと中温モード。でも、追い込んで走ると事情が変わってくる。高負荷運動状態だと手もそれなりに温まるので適温モードが熱く感じてくる。1段下げたくなるが11VだとOFFにするしか選択肢がない。9Vだと低温モードがちょうどいい。

逆に11V駆動時の高音モードは使う機会がない。5℃以下の寒い状況でも1段上で十分なので11Vなら中温、9Vなら高温で足りる。冷えてる状態から一気にグリップを温める用途には高い温度があると便利だけど1分もすれば温度上がるので必須というわけでもない。走ってる時に快適温度を保つという意味では9Vで3段階利用する方が有効という結論になった。


9Vをテストしたのは狙いがあった。USB-Cは5V、9V、12V、15V、20Vの電圧が取れる(小型タイプは12Vまでが多いが)。つまりモバイルバッテリーから一撃で9Vを抜くことができる。USB-Cから引っ張り出した後にDC-DC変換を入れて下げると余計な装置が増える上に変換ロスで15%ぐらい電力を捨ててしまうことになる。9Vなら直接取れるので無駄がない。

ちなみにモバイルバッテリー内でもDC-DC変換が間に入ってる。リチウムイオンセルの元電圧は3.7Vなので5〜12Vの規定電圧を作るために昇降圧DC-DCが入ってると思われる。なので内部での変換ロスも15〜20%ぐらいある。

10000mAhと表記されてるモバイルバッテリーは3.7V 10000mAh。つまり37Wh。これは元ネタのセルのスペック電力量。実測するとわかるけど実際にUSB出力から引っ張り出せる電力量は27Whぐらい。差分は変換ロスで消えてる分と低電圧カット分(過放電しないように残して止まる)。この理屈はどのモバイルバッテリーでも同じ。額面通りの容量は使えない。


9V駆動だと高音モードで16Wぐらい。中温は75%、低温は50%の出力(PWM制御)なので、それぞれ12Wと8Wという計算になる。つまり12Wの時の熱量がポタリング負荷での適温。


高音モードで16W程度なので最大18W出力の小型モバイルバッテリーでも問題なく動く。10000mAhのモバイルバッテリーの実出力容量が27Whの場合だと12W(相当)の中温モードで2時間15分使えることになる。夜ポタ程度なら1本でOK。1桁気温を丸1日ポタするなら3〜4本必要ってことになるが、トップチューブバッグに入るから許容範囲。

大型モバイルバッテリー1本で、という手もあるが、この手の大型バッテリーは高出力用の回路で重量が増えてるので容量に対しての重量が少し重め。PB-Y24が99Whで595g、PB-Y36は37Whで181g。

PB-Y36を3個で111Whの543gなので微妙に有利だったりする。バラバラのバッテリーはそれぞれが過放電防止で少し残して止まるから実駆動ではあまり差はでないかもしれない(時間かかるので計測してない)。微妙に軽いのと小型だから収納しやすいのがメリット。その代わり2時間毎の取り替え&ケーブル差し替えが発生する。用途と好みかな。そもそも丸1日使う人は少ないだろうけど。


グリップも改良。前回は温度差作るために上半分にゴムシートを貼ったが、よく考えてみたら温度差にならない。温度差ができるのは冷えてる最初だけ。熱が伝わるのが遅いだけで時間経過して完全に温まると同じ。

なので前回のゴムシートをやめてもうちょい薄いゴムシートでほぼ全体を覆った。元のヒーターシートは熱線ギリギリで余白をカットしてるけど、グリップのゴムを除けて巻いてるので端が余って1cmぐらい重なる。そこが段差になるのでその1cmを残して薄いゴムシートで覆うことで段差感のないグリップに改良。

そして重なった1cm部分は熱腺が2重になる。ここが一番発熱することになるので握った時に指の第一関節ぐらいの位置になるように合わせた。これでバッチリ。

気温2〜3℃の環境で1日使ったけど快適で指はまったく凍えなかった。モバイルバッテリーでの運用版はこれで完成。

でもこれでは終わらない。車体の電源で駆動できるようにもしたい。なので前準備として調査開始




使ったUSB-Cの9Vトリガーケーブルはこれ。リンクの説明は12Vだけどトリガー電圧は選択するようになってる。9Vを選ぶのを間違わないように。ケーブルを途中でチョッキンすると2線出てくる。赤と黒(赤がプラス)なのでわかりやすい。

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