PSA1を1年間乗って思うこと

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2018.3.14



PSA1を購入してほぼ1年、走行距離は3千キロを超えました。これだけの距離を実走してるPSA1は他には無いでしょう。しかも大半が街乗り以外でミニMTBっぽい過酷な使い方(^^;

PSA1はBESVの想定では街乗りミニベロ。峠を越えたり傾斜のきつい山道を散策する使い方は想定してません。当然ながら150kmを一気に走るロングライドも想定外。ましてやMTBでもビビるようなトレイルに入るなんて完全に想定外。しかし、潜在的なポテンシャルは素晴らしく、すべて実現可能でした。

想定をはるかに超える過酷状況で酷使しましたが問題は出てません。保証されるわけではないものの、本質的な耐久性は高いです。この1年はPSA1の可能性を探ること自体が楽しくて、あらゆるシーンで徹底的に乗りました。走り尽くした結果として、

「普通のサイクリングは苦手」

というのが結論です。スポーツ系自転車でのサイクリングで必要とされる平地巡航の気持ち良さが決定的に足りません。

速度的には22〜23km/hぐらいで巡航は可能だけど、その状態での体感的な爽快感はありません。低速域ではアシストが効いて速度を上げられるものの、アシストが弱って実質的に巡航状態になる速度域では「走らない感」を常に感じながらの走行になります。

走らない自転車をアシストで走る様に見せかけた、というのがモロに体感できてしまうアシスト特性になっている、という感じです(街乗り想定なので仕方ないですけど)。

じゃあ、速度落として巡航すれば快適では?と思いそうですが、これがビミョーで速度落とすとアシストが効いて「まだ速度出せるのにワザと足に力入れずに走る感」が強くなり、それはそれでスポーツ走行的な爽快感とは違う、、、体感とアシスト曲線の関係をうまく調整できてない感があります。

ま、平地でもわざとゆるく走るポタリングではアリですけど、そんなシーンだと負荷自体が低いので人力自転車でも困らない、って感じになります(^^;

なのでPSA1でアシスト生かして楽しく乗れるシーンは、

「過酷シーンでのサイクリング」


とにかく山、坂道だらけの場所。どんな高級自転車よりも快適に楽しくサイクリングできます。強風向かい風も同様。風速10mクラスの向かい風でも関係なく楽しく走れます。

継続した大きい走行負荷があると人力自転車は爽快感はありません。人力だと常に「走らない感」との戦い。PSA1は走行負荷が高いとアシスト領域外の速度にならず、負荷とアシスト量がバランスしたところでの走行になります。この状態だと体感的に「ちょうどよく軽く走れる感」が維持されます。

人間側がさらにがんばって負荷上げて少し速く走ることもできるし、もう少し力抜いて楽に走ることも可能で、その体感が爽快感のある運動として適正な範囲を保てます。過激な山道でポタリング状態を作り出せるのは電動アシストの最大のメリットです。

電動アシストは運動にならない、と思ってる人が多いですが大きな勘違いです。極端な過負荷分をアシストが肩代わりするだけで運動負荷はかかります。速く走ろうとすれば高負荷が続きます。

人力との違いは、
「ゆっくりと低負荷で走る選択肢があること」
です。

人力+激坂のような強制的に超高負荷(低速&超高負荷で乗ったまま進むか、降りて押すか)という状態は無くなり、アシストでカバーされて体感的に緩い坂に化けます。

なので人力で緩い坂を走る時と同じ。速く走ろうとすれば高負荷が続くし、わざとゆっくり走れば低負荷。地形や風向きに関係なく、常に自分に丁度いい運動負荷を続けられます。ある意味、理想的な有酸素運動です。外乱に関係なく心拍を一定負荷で安定させることは簡単。過負荷を避けれるので関節痛めたりのケガや故障リスクも最小限。

私の場合、走った時間が同じなら人力MTBと消費カロリーは似たようなモノです。筋力的な疲労感は、人力MTBは地形や状況によって幅が広いのに対してPSA1はどこ走っても似たような疲労感です(その代わりバッテリー消費が状況によって大きく変わる)。


舗装路から外れて林道やシングルトラックを散策するシーンでは、激坂を登れるので下った先を安心して見に行けます。行き止まりでも登って戻ればいいだけ。これをジャンジャン繰り返せます。この楽しさは人力MTBとは全く違う世界で、散策がとんでもなく楽しいです。


そうやってPSA1での走りが楽しいシーンで散策すると、378Whのバッテリーは半日程度で空になります。

人力では苦痛なほど負荷が高いシーンを適度な負荷で楽しく走るので、その差分はモーター出力がカバーします。登ったら下りがあるので出力しっぱなしではないもののバッテリー消費は早いです。

逆に言うとバッテリー消費が早いシーンがPSA1として最も楽しく、消費が遅いシーンは楽しくありません(※下り以外)。

アシストモードは基本的にSか3で、ペダル負荷が軽すぎると感じる状況の時に一時的に2とか1に下げてます。速度が上がればアシスト率が下がってペダル負荷は上がるので「アシスト3でペダル負荷がバランスする速度で走る」ってのが基本です。

本気で長時間遊ぶならスペアバッテリーは有効です。バッグで運ぶのは重いものの、スペアがあれば獲得標高2000mは大丈夫です。登りでの移動速度は人力の倍以上なので、時間的に大きな余裕ができて寄り道など余裕を持って楽しめます。

ま、私の場合はカメラとスペアバッテリーのどっち持ってくかが悩みのタネ(^^;スペアなく1日走れるのが理想。当分は「もっとバッテリー容量増やしてくれ」と言い続ける感じかな。この辺は電気自動車も同じだから、どんどん高密度化されていくとは思うけど。


2017年4月のPSA1購入時点では、比較対象となる遊べるアシスト自転車がほとんどありませんでした。シティサイクル系が中心で、サイクルモードでベネリのMTB乗った程度。アシスト制御が良いのか悪いのか判断材料自体がない時代でした。

そんな条件の中では、ペダルトルクだけでなくケイデンスも考慮されたアシスト制御は素晴らしいと感じました。しかし、1年使うとアラが見えてきます。使ってきて気になるのは、

「アシストのタイムラグとレスポンス」

ペダルトルクをかけてから実際にアシストがかかるまで少しタイムラグがあります。単に開始タイムラグがあるだけではなく、反応全般にタイムラグがあり、それゆえに俊敏なペダルトルク変化には反応しません。俊敏なトルク変化は無かったことにして全体的にゆったりとアシスト制御されます。

ママチャリ系アシストに比べればよくできているのですが、人間側との一体感はイマイチで「モーターで後押しされてます感」を感じます。アシストパワーのムラも条件によっては段付きでわかり荒っぽさが残ってます。

この辺、違和感を感じつつも乗ると慣れてきて、無意識に人間側がアシスト出力の都合に合わせてペダル強弱を調整することで、タイムラグやレスポンスの悪さを逆に利用して楽する様になります。そういう意味では困るほどではありません。困りはしないけど何か違う、人力MTBと交互に乗ってると「自転車の楽しさ」の部分で物足りない。

1年間、3千キロ以上をPSA1で走ったまとめとしては、

「2017年時点ではベストチョイス」
「人力では不可能な遊びが超楽しい」
「アシスト技術はもっと進化が必要」

です。



この1年間は、RZ120とPSA1をほぼ交互に乗ってきました。年間で6千キロぐらいの走ってたのを、それぞれ3千キロぐらいで分けた感じです。現在のPSA1のレベルでは、きっちりと使い分けの状態になります。RZ120で楽しめないシーンでPSA1はとても楽しく、PSA1で楽しめないシーンはRZ120が楽しい。

でも、今後アシスト技術が進化すればRZ120の楽しさの領域をどんどんカバーしてくるはず。「自転車としての体感的な楽しさ」がアシストユニット載った自転車で実現されてくると、人力自転車の意味は急速に薄れる気がします。E-Bikeは欠点をどんどん解消していくけど、人力自転車の欠点は解消する方法がありません(人力自転車の欠点を解消したのがE-Bikeとも言えるが...)。

24km/hから上の高速域は自転車本来の性能で人力自転車と同等に走れ、低速域(というか強制的に低速になる負荷シーン)では適度に負荷をモーターが肩代わりして快適性を保つ。これが高レスポンスで違和感なく実現されれば普通にE-Bike選びます。

E-Bikeの数が増えればコストは下がり、安くなれば市場が拡大します。そうなると参入メーカーは増え競争激化で技術も急速に進む、、、。フイルムカメラが急激にデジカメに置き換わった様に、アシスト自転車が中心になる時代はそう遠くないと思います。

それを裏付けするように、2018年のサイクルモードはスゴかった。シマノのE8080ユニットは新しい時代の幕開け。BESVのTRS1の体感は軽いスポーツアシスト自転車の未来が見えた。ベネリのミニベロはリアハブモータなのにアシストタイムラグが少なかった。たった1年、技術の進歩は想像以上に早いです。

2018年の注目車種としては、ミヤタのRIDGE-RUNNERかなぁ。予算に余裕があるならTRS1がいい(軽さは正義)、だけど、やっぱり高額。フルサスだったら考えるけど、、、私は各社からフルサスが出揃うのをPSA1乗りながらじっくり待ちです(^^; PSA1は一応フルサスだし。

コスパで言えば、20万円で買えるPSA1は今でもオススメです。街乗りと過酷シーンで遊ぶのメインなら最もコスパいいでしょう。後でメインとなるスポーツE-Bikeを買ったとしても街乗り用途として併用可能。

でも、予算に余裕があって30万出せるならPS1 Advanceが一押しです。変更されたアシスト特性と軽い車体のバランスは、この構成の完成系。PSA1の加速時の寸詰まり感が和らぎ、平地巡航がやりやすくなってます(残念ながらアシストのタイムラグは同じだけど)

でもまぁ、そうやって出すお金増えてくるとRIDGE-RUNNERが近づいてくるからビミョー。あれはスポーツユニットだからPS1やPSA1とは根本的に系統違うけど。重いハードテールに40万出せるか?って気もするが、、、

たぶん、、、思い切ってメインの自転車として選ぶならTRS1かRIDGE-RUNNER。様子見でセカンド自転車として選ぶならPS1 ADVかPSA1。結局、入り口としては現時点でもPSA1が優秀かな。軽さも正義だけど、安さも正義。PSA1をガンガン使い込んだ頃には進歩したE-Bikeが出揃ってるはず。

これからは選択肢が多く進歩も早いことで迷いそうです。いい時代になった(^^)

E-Bikeはまだ待ち、って人が多いですけど、趣味は楽しんだ時間が全て。コスパ悪くても早く手を出して楽しむことを推奨します。待ってばかりの趣味は楽しくありません。勢いで購入して没頭するのが趣味の醍醐味です。

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