サブバッテリー&インバーター搭載

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2005.4

今まで外でのAC100Vの利用は、走行中は車のシガーソケットに150Wの小型インバーターをつないで使い、停車時に使う予定がある場合は軽自動車用のバッテリーをあらかじめ充電して乗せておいて小型インバーターをつないで利用するスタイルでした。それなりに使えるのですが、根本的に容量が少なく、蛍光灯とノートパソコンやデジカメバッテリーの充電ぐらいしか使い道がありません。おまけに軽自動車用でもバッテリーを車内に乗せるとジャマです。

というわけで、本格的なサブバッテリーと大容量インバーターを搭載することにしました。

条件的には、
  • 車内空間を最大限に使うため、サブバッテリーなど機材はエンジンルームと内装の中に納める
    パジェロの車内は中で寝ることを考えると、お世辞にも広いとは言えません。無駄に空間を消費することはできるだけ避けます。

  • インバーターは1000Wクラス
    普通に家電を使う為にはこのぐらいの容量が必要です。むろん1000Wではサブバッテリーの消費が激しいので非常に短時間しか使用できませんが、短時間でも使えれば利用範囲は格段に広がります。なにもキャンプだけで使うワケではありません。電源の無い場所で工作するときに電動工具が全て動きます。また、1000Wクラスになると冷却ファンなどの関係で待機電力が大きいので、小さいワット数で長時間利用する時に150Wの小型インバーターと切り替えて使える様にします。

  • サブバッテリーは、走行時にオルタネーター発電から充電する
    当たり前ですが、走行時にサブバッテリーが充電できないと話になりません。メイン側とリレーで直結すると電圧差が大きい時に大電流が流れてしまうので抵抗を入れて電流制御します(現在は『充電制御をSBC-001Aに変更』を行いインテリジェントな充電システムになってます)。

  • 走行時は、インバーターへの電力供給をオルタネーター側から行う
    サブバッテリーを使い切った後でも、エンジンさえ始動すればサブバッテリーへの充電を行いながら、ある程度の家電を使える様にする為です。もちろん、オルタネーター容量との相談になります。無理するとメインバッテリーが上がります。

  • 限りなく低コストで実現
    無い袖は振れません。単純にキャンピングカーパーツを探せばいろいろと存在しますが、根本的に高価!。今回はコストパフォーマンス重視で、作れる部分は徹底的に自分で作ります。むろん、それに使うのも激安パーツです。
です。

そこから、構想1年、実験1ヶ月の膨大な期間を使って固まったサブバッテリーシステムは、
という感じになりました。
基本的に単なる配線とヒューズ、リレー、スイッチ、抵抗の組み合わせです。電流計は直列接続の安物、電圧計は温度センサーがついた普通のカー用品です。ハイテク電子パーツは全く使ってません。バッテリーはエンジンルームスペースの関係から、メイン、サブバッテリー共に長さ23cmが限界でした。23cmサイズでは安価なディープサイクルバッテリーが存在しないので、BOSCHのメンテナンスフリーバッテリーを採用しました。深放電には弱いですが、23cmサイズとしては容量は最大です。安いので寿命がディープサイクルの半分だったとしてもコストは同じです(頻繁に深放電しなければサブバッテリーとして実用に耐えました)。

エンジンルームの全体像はこんな感じ。まぁまぁスッキリ収まりました。
※マネする場合は、配線の意味を完全に理解した上で自己責任でお願いします。
※配線図を見てヒューズの場所の意味や配線太さが判断できない場合は絶対にマネしないでください。車両火災になります。


これは古い構成です。この後、
配線を完全にやり直し!』を行って『パジェロの配線図』の構成になり、さらにサブバッテリーの充電系は『充電制御をSBC-001Aに変更』で、直結からインテリジェントな充電装置に変わりました。
もともとのバッテリートレイから延長する方向にサブバッテリーを搭載する枠を制作。枠自体は本箱用のLアングルとネジで作っても大丈夫ですが、バッテリーは重いので下方向への加重は相当なモノになります。支える部分は分厚いアングルを使い、既存の使われてないボルト穴を利用して過剰と思えるぐらいにガッチリ固定します。

ディーゼル車は標準でダブルバッテリーなので、その純正パーツが利用できれば楽なんですが、ガソリン車はその場所にキャニスターがあるためダメでした。

バッテリーを搭載するとこんな感じです。メイン、サブバッテリーが連続しギリギリです。メインバッテリーをバッテリートレイ前方ギリギリに配置することで、ボンネットとの余裕も少なくなります。アーシング用の端子が突き出してるので、あまり余裕がありません。
また、メインのプラス側の車両配線もギリギリになります(なのでちょっと斜めにつけてます)。

メインバッテリーも弱ってたので、同じバッテリーに交換しました。

走行充電用の電流制御抵抗はエンジンルームのバッテリーとは反対側に設置。20Wのセメント抵抗0.46Ω6個並列接続にヒートシンクつけ、放熱も兼ねてボディに直接固定してます。配線やヒューズの抵抗も考えると全体で0.09Ω程度の抵抗になり、サブを使い切った後にメイン側とつながると25Aぐらいで充電がスタートし、サブ側の電圧が上がるにしたがって電流値が下がります。

欠点として、満充電までもう少しという段階になると電流値が小さくなりすぎて時間がかかることです。ディープサイクルバッテリーだと過充電に弱いからこのぐらいで丁度いいかもしれませんが、普通の自動車用バッテリーの場合だと、ある程度電流値が下がったら、この制限抵抗をパスできるような仕組みを入れた方がよさそうです。

今回のキモになる1000Wインバーターです。調整正弦波タイプですが、私が散々探した中で最も安価(12700円)で、最も小型&軽量でした。秋葉原にある秋月電子で購入しました。
そのままだとファンの音が異常に大きいので、パソコン用のファンに交換し、排気部分のスリットを切ってのけました。これでだいぶ静かになりました。また、電圧が下がってくると警告音がうるさいので圧電ブザーも外しました。

エンジンルーム内に搭載するために、車内からON,OFFできる様にスイッチ部分を外へ延長できる様に改造し、吸排気部分以外の隙間や接続部分はコーキングして防水対策してます。

インバーターはエンジンルームの端、キャニスターの後ろの隙間に縦置きに設置。エンジンルーム下の冷えた空気を吸い込んで上に排気する様にしてます。停車直後のエンジンルーム上部の温度は60℃近くになりますが、下部の温度はそれほどでもありません。なんとか使える範囲です。走行時はクーリングファンが動いてるからか、この場所の温度は炎天下の昼間でも40℃程度でした。

防水対策として、上からの水しぶきをカバーするため、配線用のダクトを排気口の部分に取り付けれる様にしてます。インバーターの排気は、ダクトの左右から抜けます。雨の高速走行や高圧洗車機となどで実験しましたが、エンジンルームへの水の侵入はほとんどなく、あっても少し水滴が垂れる程度なので問題なさそうです。むろん、本体側面と100Vの出力部分はコーキングで水垂れ対策が必要です。

インバーターの入力切り換え用のリレー。インバーターへは最大で100A近い電流が流れます。100Aレベルのリレーでかつ5極タイプ(ON,OFFではなく切り換え用)というのは探した限りでは存在しませんでした。なので、30Aリレーを4個並列で代用です。1個800円の激安リレーです。
切り換え時の瞬間はリレ-1個分の30Aまでしか耐えれないので、インバーターを使用しながら切り替える時は300W程度の利用が限界です。切り換え後はフルに使っても問題ありません。ただし、オルタネーター出力の余裕は、車側の電装品(エアコンとか)を使ってないときで、45A程度(回転上げると60A程度)です。それを越えて使うとメインバッテリーからの流し出しになるのでバッテリーが上がります。

エアコン入れてブロアファンがフルに回ってると20Aちょっとの余裕になり、さらにテールランプやライトやフォグを点灯させるとアイドリングではほとんど余裕が無くなります。うーむ、寒冷地用のオルタネーターが欲しい…(30Aぐらい容量が大きいらしい)。

ヒューズも120Aクラスのやつは特殊で高価だし、配線も太いやつは入手や加工が困難なので、基本的に30Aのヒューズや2sqのケーブルを容量に合わせて複数を並列に使っています。

電流計は直列接続タイプの安物を利用。大電流が流れる部分なので延長するわけにはいかず、エンジンルーム内への設置です。サブバッテリーの消費&充電状態用に1個、メインバッテリーの状態判断用に1個使ってます。停車時にしか確認できませんが、車内からは電圧を監視してるので特に問題はありません。防水対策としてタッパーを加工してケースを作りました。

※最大で60Aまでしか計測できないので、600Wを越えてインバーターを使うと針が振り切ります。短時間だともちますが、数分レベルでやると壊れます(焼き切れました(^^;)。100Aスケールの電流計が欲しい…。
(現在は『デジタル電流計の追加』で解決)

各種制御スイッチと、電圧&温度監視用パネルです。インバーター用にさらにスイッチを増設しました。電圧はメインバッテリーとサブバッテリーを同時に監視できる様に2個つけてます。温度は1つは単なる外気温で、もう1つはエンジンルーム内のインバーターの排気部分の温度を計測してます。

※電圧計の配線は、他の電装品とは別の専用の配線で直接バッテリーと繋ぐ必要があります。ACC配線など電装品からも使う配線に接続すると、配線抵抗と電流値に応じた電圧降下が発生してしまい、バッテリーの端子電圧を正しく測定することができません。

100V出力を確認するために、電圧計の左横に100V用のネオン管をつけてインバーターからの100V出力に接続してます。電圧降下や異常加熱で出力がカットされた場合に、このランプで判断できます。

1000Wと150Wのインバーターの切り換えスイッチ(100V)とサブバッテリーからの12V出力スイッチは灰皿下のトレイ部分に設置。
これらのスイッチは、容量の大きい手動スイッチを使い、リレーを使わずに直接配線してます。リレーを使うとリレーの駆動自体にサブバッテリーを消費してしまうので、あえて手動タイプにしてます。

100Vコンセントは、助手席の足下、セカンドシート前の足下、バックドア手前の3カ所につけました。

これらのコンセントは助手席の足下奥の部分で、通常の差し込みコンセントプラグでインバーター出力側に接続されていて、全体が普通のタップケーブルの様な構成になってます。
なので、その差し込みを抜いて車外からの100Vコンセントに接続すれば、外部100V電源をそのまま利用することができます。


サブバッテリー&インバーターの使用感


むちゃくちゃ便利です。普通に家電製品が使えます(^^)。

特に重宝するのが湯沸かしポット。小型のモノは1.2リットルの容量で400Wぐらいです。これを走行中にセットしておけば、湧いたあとは保温されるのでどこでもすぐにコーヒー入れたり、カップラーメン作ったりできます。

※このポットも改造してます。普通のポットは完全に沸騰せず、95℃程度で保温になります。なのでちょっと中を改造して強制再沸騰スイッチをつけました。スイッチ入れると問答無用で加熱しつづけグラグラと湧いたお湯を作れます。おいしいコーヒーを入れるためには必須です。

あと3合炊きの小型炊飯器も問題なく使えます(300Wぐらい)。ごはん炊き自体を楽しむキャンプであれば鍋や飯ごうで炊くんですけど、準備や片付けに結構手間がかかるので、少人数でちょっとバーベーキュー、って感じだと炊飯器の方が便利です。サブバッテリーだけで炊飯2回と湯沸かし2回は大丈夫でした。

エンジンをかけているとライトやエアコン、サブバッテリーへの充電をOFFにしている状態であればオルタネーターから45Aぐらいを利用することができるので、もしサブバッテリーを使い切ってしまっても、アイドリングさせれば湯沸かしや炊飯は可能なので安心感があります。

不便を楽しむキャンプは散々やってきたので、そろそろ野外でのんびりする時間を増やす方向に変更しつつあります。そういう意味ではマトモなキャンピングカーがいいのですが、ハンドル握ってる時は、気持ちよく山道を走りたいし、気に入った河原には躊躇なく降りたいし、林道へも入りたい。そうなると、パジェロにキャンピングカーの便利さを融合するのがベストかなぁ、という感じです。

電気のコストについて

車のオルタネーター発電で電気を使うとコストはいくらなのか?素朴な疑問です。ちょっと調べてみました。

CAMPを使ってガソリンの消費量を計測してみると

 無負荷アイドリング時    19cc/分
 400Wインバーター負荷時 23cc/分

これを1時間あたりのガソリン価格(1リットルを125円として)にすると

 無負荷アイドリング時    142円/時間
 400Wインバーター負荷時 172円/時間

となります。

一般的な小型発電機が400W負荷時に50円/時間ぐらいの燃料消費ということを考えると、単にアイドリングで使うと3倍以上のコストになります。

が、しかし、走行時に使うと、走る為には元々ガソリンを使うので、電気代としてはオルタネーター負荷分だけの、30円/時間のコストになります。これは小型発電機使うよりも安いです。しかも、実際の走行では減速時にアクセルオフでエンジンブレーキを使います。一定回転以上であればフェールカットされるのでガソリンは消費されません。でも、オルタネータは回るので発電はされます、結果的にさらに電気代は安くなります。規模は非常に小さいけどハイブリッド車の回生ブレーキと同じ理屈です。

走行時はオルタネーターで発電してサブバッテリーへの充電や家電を直接駆動し、停車したらさっさとエンジンを止めて、充電されたサブバッテリーから電気を使うと電気代としては家庭の電気と同じぐらいのコストで済みそうです。


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