TRS2AMの詳細インプレ

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2019.09.03


納車されてから10日。天気悪くて細切れな乗り方だけど合計で300kmほど走った。だいぶ印象がハッキリしてきたので詳細インプレしてみる。
初回走行時のファーストインプレ

 電動アシストとしての特性


電動アシストとしてPSA1の体感と大きく違う。モーターの後押し感がなくペダルへ入力した力がリニアに増幅される感じ。E8080はクランク1回転途中の瞬間的なペダル強弱にもアシスト制御が追従してる。力入った時しか推進力にならない。体感的な人力感はこのへんからきてる。

PSA1はペダリングのムラ程度は無視されて一定のアシスト量が続く。なのでモーターが押してスッーと滑るように走る体感になってる。

アシスト力も違う。E8080はアシストの上限規制に対してマージンが大きい。速度的には21km/hちょっとで完全にアシストが切れる。各速度域のアシスト率のマージンも大きい感じ。PSA1は規制上限ギリギリを狙って調整されてる。入力に対するアシスト力もアシストが切れる上限速度もPSA1が上(マージンは適切に詰めてくれよ、って思う、、、シマノ側の問題だが)

ただし、強いペダル入力のアシスト感は逆転する。E8080は強い入力に対応してるので強いアシストが出る。足は使うがガツンと踏んで強いアシスト引き出して坂を登れる。その場合の踏める重さ感も人力的で自然。重すぎるギヤは踏めない。

PSA1だと強いペダル入力を検知できない。トルクセンサーの入力上限が低いので強く踏んでも弱いアシストしか出ない。強いアシスト出力を引き出すには軽いギヤで高ケイデンスの一択になる。そういうペダリングをした時はTRS2より強いアシストが出る。平地と同じく滑るようなフィーリングで坂を登る。

移動手段としてどっちが楽?って勝負だとPSA1の勝ち。サイクリングとしてのスポーツ自転車の楽しさだとTRS2の勝ち。PSA1は楽してる分、バッテリー消費が早い。TRS2は異様なまでにバッテリーが持つ。

PSA1は楽チン街乗り&ポタ向きE-Bike。TRS2は過負荷の無いリアルなスポーツE-Bike。低速&高負荷の状態が無いだけで体感的には人力MTBと変わらない。速く走ろうとすればアシストHIGHでも高負荷トレー二ングできる。走行後の疲労感はTRS2の方が大きい。

目的で明確に使い分けれるぐらい特性が違う。

 アシスト音


静かなPSA1とは対照的でE8080はうるさい。登り坂では延々とギュィーン音を聞かされる。負荷に関係なくクランク軸の回転数に連動してうるさくなる。高ケイデンスで登り続けるとウンザリする。

平地巡航からゆるい傾斜になってアシスト内に入った時が最悪。ギヤ軽くしてケイデンス上がってるから無音→高回転ギュィーン音に一気に切り替わる。うるさいのに21km/h付近ではアシスト比率低いからほぼ人力というのもムカつく。

現時点では選択肢ないので許容するけど将来的には無音を目指して欲しい。次の買い替えサイクルではうるさいE-Bikeは選択肢から外れる。

アシスト音に関してはPSA1はリアハブモーターなので有利。モーター負荷に連動するからクランク回転数は関係ない。負荷の高い登りで低い音が聞こえる程度。高ケイデンスでも音は変わらない。JF1とか体感的には無音に感じたぐらい。

BBタイプでも静かめなユニットもある。ベクトロンに採用されてたボッシュのユニットは静かだった。ベネリが採用してるBAFANGのも低音系ノイズでマシだった。ヤマハのも低音系で耳障り感はマシだった気がする。パナはE8080と同類の音でもっとうるさかった。まー、いろいろある。走行シーンでも違うから乗り込まないとわからんのが厄介。

 バッテリーの構成と性能


バッテリーはBESVオリジナル。下からフレーム内に入ってて脱着できる構造になってる。鍵を回すと引っかかりが外れて1cmぐらい出る。隙間から指入れて板バネを抑えると全部出てくる。一気に脱落しないための仕組があるのが親切。2.7kgもあるので鍵回して一気に落ちると危ない。


ゴム製のカバーはネジ2本で外れる。このカバー部分を加工すれば色々と便利なことができそうに思う。素晴らしいことにオプションとしてはバッテリー本体とカバーは別々に売ってる。カバーだけの入手ができるのがありがたい。

バッテリー容量は504Whで2.7kg。PSA1の378Whの1.33倍の容量。どっちもリチウムイオンなので単純に容量だけの差。重量差を考えると少し高密度化されてる。

充電器の能力は違う。PSA1の2Aタイプ。TRS2のは4Aタイプ。充電はTRS2の方が早い。当然ながら充電器もBESVオリジナル。4Aとしてはやや小ぶり。

実走行では1.33倍どころか2〜3倍ぐらいバッテリーが持つ印象を受ける。TRS2のエネルギー効率(自転車性能と人間側への負荷割り振り)はかなりレベル高い。

バッテリーインジケーターは5メモリ。1メモリが20%。ここまでの体感では坂込みの40km程度の走行で1メモリ減る感じ。普通のサイクリングだと峠込みで200kmは走れると思われる。平地中心だと無限に走れる。当然、ずっとHIGHモードの話。

21km/h以上で巡航すると完全に人力。バッテリーは全く減らない。20km/hでも微かにしかアシストされないので減らない。平地で減らすのは不可能に近い。山岳路ですらロクに減らない。走り方に依存するとは思うものの、スポーツ自転車として乗れる人なら似たような感じだと思う。

山岳路のロングを走る場合でもスペアは必要なさそう。ビミョーに足りないシーンは充電器運んでランチ時に補充電でいける。COHO XCを引いて過激山岳路のロングって場合はさすがにスペアいる気がするけど。はやくCOHO XC引けるようにして試したい。

 2.6インチ幅のブロックタイヤ


TRS2AMはプラス規格。必然的に太いタイヤになる。2.6インチを採用してるのは絶妙だった(TRS2XCは2.35インチ)。2.8インチだったらモッサリすぎて耐えれなかったかもしれない。

タイヤ自体は納車と同時にシュワルベのロケットロンに変えた。2.6インチ幅は未知の世界。タイヤ探しはだいぶ悩んだ。標準のミニオンはダウンヒル専用タイヤ。あんなものでは舗装路ロングは走れない。

軽量で舗装路ロングで150km走る気になるタイヤ。激しいトレイルやダウンヒルコースも走れて王滝もこなせないといけない。ほとんどむちゃくちゃな条件。

お気に入りのレーシングラルフは2.25までしかない。ロケットロンの2.6インチが最近追加されててギリセーフな感じ。2.6には走行抵抗大きめの方のコンパウンドが採用されているが、、、

舗装路をマモトに走れるのか?と不安だったが、まぁ許容範囲。平地でアシスト外速度で保って巡航するぐらいはなんとかなる。一時的には30km/hぐらいまで引っ張ることも可能(一時的だけど)無理に最高速を追い求めなければロング走る気にはなる。オフ寄りだからダート性能は素晴らしいが、、、

やっぱレーシングラルフがベストバランスだよなぁ。2.6インチサイズを作ってくれんかな。

 11-42の10速ギヤ


10速ではなぁ、、、と思ってた。でもフロント34Tのと組み合わせは絶妙。ギヤピッチが荒いこと以外は大きな問題はない。11Tは下りで35km/hオーバーまで漕ぎ足せる。42TはHIGHモードなら30%超えの坂を登れる。うまいバランスだと思う。

難点はギヤ同士が離れてること。特にアシスト外になる21km/hから上で使うギヤが辛い。速度上がってきてケイデンス高くなったから1つギヤを重くして、ってやると一気に重くなって踏み切れずに失速ってパターン。軽すぎ、重すぎ、のギヤをハンチングするように行き来することになる。その間のギヤがいるってシーンによく出会う。

まーコスト面との兼ね合いで標準が10速なのは仕方ない。その範囲ではうまくまとめてると思う。致命的に困ることはない。将来的には12速化を目指したい。

 203mmのブレーキローター


SLXのブレーキと組み合わせてよく止まる。リヤは180mmだけど、これも問題ない。RZ120のXTR(前後とも180mmローター)と比べても遜色ない。フィーリングは少し違うがタイヤ外径が大きい影響かと思う。

SLXのフィン付きはメタルパッドかな?鳴きが出るとハマるのでレジンパッドも用意しとくか。

 リアショック


ROCKSHOXのショック。Webで探しても同じやつが見つからない。完成車用のショックなのかな?

性能的には問題ない。激しく走る時には本領を発揮する。でも個人的には特性が合わない。激しいダートを安定に走れるけど動きの体感がFOXのRZ120と違う。舗装路での体感も違う。走りこんで馴染んでも近づかないであろう特性の違い。

エア圧とサグの関係やリバウンド調整は徹底的に試した。初期の動きの硬さを差し引いても望む特性と違う。

RZ120時代からROCKSHOXとは相性悪い、、、好みってのはそういうもの。追求はせずにそのうちFOXへ変える方向で考える。ここは乗り心地的に一番効いてくるのでカシマコート狙うかなぁ。

しばらくはこのまま。

 フロントフォーク


サンツアーのコイルバネタイプ。コスト的にこれも仕方ない。遊べる範囲にはまとまってる。激しく走っても大きな問題はない。でも普通に舗装路走ってる時が硬く感じる。


プリロードはあるがすでに目一杯マイナス。バネレートが高いんだろな。山を激しく走る想定なら仕方ない。


リバウント調整はあるが、クリック感もなにもないダイアル。効いてるのかどうか不明、、、まーこんなもんか。

ここも細かいことは追求せずにFOX化の方向を検討。FOXそっくりさん(下のグレードと中身同じ)のマルゾッキを狙うかも。フロントはFOX的な特性であれば下のグレードで十分。DVOも気になったが求めてるのが性能ではなく特性なので冒険はやめとく。

しばらくはこのまま。

 SC-E7000


素晴らしくて感激する。これを採用してくれたお陰でセンターにiPhone付けれる。壊れにくい位置で控えめなサイズ。でも情報表示は適切。


ポートは4つ。2つ空いてるので将来的にDi2化も可能。左にあるボタンで表示が切り替わる。ハンドル側にある操作ボタンの真ん中のやつと同じ動き。


この真ん中ボタンと同じ。ってことは、こっち側はDi2のシフトスイッチと入れ替えても大丈夫か。素早くアシストモードを切り替える場面がほぼ無いが、、、

 舗装路のサイクリング感


いわゆる「だいたい平地」って場所はアシスト領域外で走れる。21km/hを超えるとアシスト切れて音しなくなる。

平地巡航は23km/h付近。追い風やわずかな下りなど条件が良ければ1つ重いギヤで25km/h付近。足を追加すれば28km/h付近まで加速できるが好条件がないと巡航は無理。タイヤが2.6インチのロケットロンなのを考慮すると優秀。空気圧は2.0k。

20km/h以上の加速感はもっさり。重く太いタイヤを回してだんだん勢いつけて慣性で速度上げてます、って感じ。軽快にスッと動けるのはアシスト範囲だけ。

疲れてくると重いタイヤを回し切れなくなって21km/h付近で巡航になる。アシスト領域に入るがPSA1のような20km/h付近でグンと支えてくれる感じはない。足に力入れないと速度は落ちていく。どうもアシスト比率の規制値に対してマージンが大きすぎる感が強い。平地で速度落ちてるとアシストOFFでもあまり変わらない。負荷が低いとペダルに力入りにくいのでアシスト効果は薄い。

結局のところ大半は人力MTBで走る感じと変わらない。実際、巡航時はアシスト音なく人力巡航が続く。違うのは発進の瞬間と登りだけ。登りは常識的な峠道や山道では15km/hぐらいで走れる。負荷はそれなりにあるけど走行風があるので快適。さらには速度が低下しないので虫が寄ってこない。

走れる距離は語っても仕方ない。なにせ平地移動なら無限に走れる。どれだけ登るかが全て。たぶん1500mは問題ない。ロンクポタの能力は極端に高い。常識的な場所なら1日でバッテリーを使い切れない。まー私は過酷な場所を狙うので使い切ってしまいそうだが、、、

 ダートやトレイルでの性能


競技志向じゃないのでシビアな性能は気にしない。ざっくりの体感で判断。単純にRZ120より安定で走りやすい。前後ショックの特性合わない段階でも安定性や走破性は高い。

こぶし大の石がゴロゴロしてる場所でもなんら問題ない。RZ120だとフラフラするような路面でもスッとまっすぐ走れる。タイヤの影響もが大きいと思うが総合的に性能高い。登り方向の差は言う間でもない。どんな路面だろうが傾斜だろうが乗って進める。走行テクだけの問題。激坂途中で停車してもすんなり再発進。

PSA1でもある程度登れたが路面荒れてると限界があった。TRS2は荒れてても問題ない。トレイルを楽にポタリングできる。

 初期ロット購入して正解だった

細かい問題はあるが順次解消していけばいい。「今」を遊べるフルサスE-Bikeとしては価格も含めてダントツだと思う。初期ロットを予約して買って正解だった。これは早く買って遊ぶ方が恩恵大きい。様子見の意味はない。

リアサスがいらない人はTRS2XC選べばさらにコスパ高い。ハードテールMTBのバッテリー内蔵型も現時点ではTRS2XCしかない。

PSA1を初めて見て試乗した時から2年半。あの時はまだBESV JAPANは設立前だった。E-Bikeに興味示す人もほとんどいなかった。フルサスE-MTBを作ってくれ、とあちこちのブースで熱く語ったが話通じなかった。BESVはPSA1はフルサス構成だったけどMTBジャンルを持ってなかった。

そこから1年でカーボンハードテールのTRS1、さらに1年でフルサスのTRS2AM。プロトではなく、すでに市販体制を整えて潤沢に量産してる。純正オプションまで事細かく揃えてる。このスピード感は驚くばかり。

他メーカーも追いかけて色々発表してきてるが、、、現時点でバッテリー内蔵型MTBを日本市場で販売してるメーカーはない。買えなきゃ遊べない。

「デザインが良くてボトルが付く買える価格のフルサスE-MTBで遊びたい」

これを一番に実現してくれたのはBESVだった。

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